リーグ最低打率で優勝した落合中日の秘密
「岡田監督は二遊間の強化だけでなく、他にも落合監督と同じような方針を掲げています。2人とも合理的な考え方をする指揮官なので、自然と発想が似るのでしょう。
岡田監督は『無死一、二塁の時に変な右打ちをする必要はない。ゲッツーでいい』と話しています。右打ちを意識しすぎて、ポップフライに終わったり、甘いボールが来てもヒットにできなかったりする場面が往々にしてある。ランナーを進められずに1死一、二塁になれば、次の打者はゲッツーのプレッシャーが掛かってくる。それなら、無死一、二塁で普段通り打席に立って、結果は併殺打でも2死三塁になったほうがいい。相手は三塁にランナーがいれば落ちるボールを放りづらくなるし、少しでもミスをすれば1点入る。プレッシャーが違ってくるし、打者もゲッツーを気にせずに打てますからね」
落合監督もかつて、『無死満塁の時はショートゴロの併殺打でいい。1点入る』と言っていた。併殺打を“最悪のケース”と考える指揮官も少なくない中で、岡田監督同様、そのリスクを恐れない采配だった。
「ノーアウト満塁で打席に入ったバッターが凡退すると、後続も打てず0点で終わるケースが目立つ。この時に1点を取れたかどうかが終盤に効いて、逃げ切る試合もある。良い打者でも7割はアウトになるわけで、タイムリーが出る確率のほうが圧倒的に低い。それなら、アウトでいかに点を取るかが重要となる。
監督が『ゲッツーで構わない』と言えば、選手は楽な気持ちで打席に入れる。このような合理的な考え方がチームに浸透していたので、落合監督時代はそれほど打てなくても勝つことができた。2011年なんてリーグ最低打率の2割2分8厘で優勝しています。岡田監督の『ゲッツーでいい』発言も阪神にプラスの効果をもたらすのではないでしょうか」