「プロにも(高卒、大卒、社会人からなど)色々な入り方がある。確かに森以降、レギュラーにはなれていないかもしれませんが、いずれにせよこれからです」(西谷監督)

「プロにも(高卒、大卒、社会人からなど)色々な入り方がある。確かに森以降、レギュラーにはなれていないかもしれませんが、いずれにせよこれからです」(西谷監督)

 最強世代と呼ばれた彼らがプロで伸び悩むことで、大阪桐蔭の選手には「早熟」「高校で完成されている」などのレッテルが貼られている。この点に関して、西谷監督ははっきりと否定した。

「完成されているなんてことはありません。僕らの目標は甲子園で勝つことであってプロ野球選手を育てることではない。もちろん、プロを目指している子の結果(進路)がプロになればいい。それだけです」

 大阪桐蔭の野球部には1学年約20人しか入部できない。それゆえ、福岡ソフトバンクから1位指名を受けた愛知・誉高校のイヒネ・イツアのように、中学時代は補欠ながら高校で飛躍的に成長する選手は大阪桐蔭のスカウト網にはなかなか引っかからない。早い段階から実績を残せる選手が集まる傾向にあるため、「早熟」などと揶揄されてしまうのだろう。

 甲子園で勝つことと、プロで大成する選手を育てること。それは二律背反なのかもしれない。

【プロフィール】
柳川悠二(やながわ・ゆうじ)/1976年、宮崎県生まれ。ノンフィクションライター。法政大学在学中からスポーツ取材を開始し、主にスポーツ総合誌、週刊誌に寄稿。2016年に『永遠のPL学園』で第23回小学館ノンフィクション大賞を受賞。近著に『甲子園と令和の怪物』(小学館新書)

※週刊ポスト2022年11月18・25日号

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