離ればなれの夫婦生活を繋いだ「あいこちゃん」
夫の皆川氏は、「あいこちゃん」の原型となるイラストは上村さんが現役時代に書いていた「練習日誌」のなかに描いてあったと会見で述べていたが、上村さんの見解は別にある。
「皆川はそう言うのですが、自分では描いていた記憶がないんですよ(笑)。日誌はいまも手元にあるので見てみましたが、やっぱりトレーニングの姿勢を描いた“棒人間”くらいしかありませんでした。それでもしかしたら……と思い出したのが、現役時代に一緒に使っていた『ホワイトボード』です。オリンピックを目指していた現役時代、彼と東京で一緒に住んでいたんです。でも、お互い遠征で忙しくて、すれちがいの毎日。だからいつも部屋にあったホワイトボードにメッセージなどを書いていたんですね。
言葉だけじゃなくて、イラストを添えて。その時のイラストが『あいこちゃん』に近いものでした。私は口下手で、面と向かって話すのが苦手なタイプなんです。それで彼と手紙のやり取りをしていたこともあったので、そこに『あいこちゃん』的なイラストを描いていたことも彼の記憶のなかにあったのでないかと思います」(上村さん)
「冬を楽しみにしてくれる人が増えてほしい」
上村さんは読者である子供にはとにかく「ワクワクして読んでほしい」と語る。
「ストーリーを考えるにあたって、伝えないといけないことだったり、温暖化というのが雪や生態系にどういう影響があるのか、私たちも学びながら作っていきました。その部分は『学びのページ』として親御さん向けに最後につけています。逆に子供たちには“お勉強”にならないよう意識してワクワクするように作りました。この絵本をきっかけとして雪に関心を持ち、これから訪れる『冬』を楽しみにしてくれる人が増えると嬉しいです」(上村さん)