12球団随一の戦力を誇りながら、日本シリーズはおろか、クライマックスシリーズからも蚊帳の外、Bクラスに終わった巨人。来季に向け原辰徳監督(64)の続投と新コーチ陣の就任が発表されたが、これにより、まるで中国よろしく「原独裁体制」が永続することが確定したと、あの超大物OB・広岡達朗氏が怒りの声を上げた。【全3回の第2回。第1回から読む】〈文中一部敬称略〉
岡田にあって原にないもの
今オフはFAで獲得した井納翔一(36)と山口俊(35)が戦力外、梶谷隆幸(34)が自由契約となった。選手の育成ができないことが原巨人の致命傷だと広岡氏は語る。
「我々の時代は巨人の選手は苦労してレギュラーポジションを奪ってきたが、今は首脳陣が使い勝手の良い選手を取るだけで、コーチが教えようとしない。監督とコーチが互いに勉強して選手を育てるのが野球ですが、原はタレントのようなコーチを連れてきて、ダメと思えば理論派とされるコーチにすげ替える。救いは中日でコーチを務めて苦労した川相(昌弘・58)が一軍総合コーチになったことくらいです。
西武のコーチ時代に中村剛也(39)を育てたデーブ(大久保博元・55)が新コーチとして注目されているが、デーブが監督をして楽天は強くなりましたか? 優勝が絶対の巨人がデーブから習うことがあるとすれば、今の巨人が何もしていなかったという証拠だよ」
今年のFA市場の目玉である捕手の森友哉(27)についても、巨人が獲得調査に乗り出すと報道されている。
「現に22番(小林誠司捕手・33)を育てられないから、他所から獲ってくるわけでしょう。ドラフトで巨人から指名されたと喜んでいた高校生がいた(浅野翔吾外野手・17)が、巨人が育ててくれると思っていたら気の毒だよ。育てられないからこうなっている」
今季3位につけた阪神は、矢野燿大(53)に代わって岡田彰布(64)の監督再登板が決まった。ポジションが流動的だった主軸の佐藤輝明(23)を三塁に、大山悠輔(27)を一塁に固定する方針だが、広岡氏はこの岡田監督を評価する。
「『守備、打順を固定する』と具体的に話していたが、監督としてずいぶん成長したなと思った。外の球団で指揮を執り、ネット裏から勉強して、『ポジションを動かすことはよくない』という哲学が身に染みたんだろう。監督の方針が明確なら選手も動きやすいですよ。
原にはその軸がない。4番はシーズンを通してにらみがきかないとダメなのに、平気で岡本和真(26)を6番に落としたりする。選手にも『下位で打たされるなら辞めます』というような気概が出てこない。毎日のように打順を替えてホームランばかりで点を取っても、その1点に重みはないですよ。相手にプレッシャーを与えることの意味がわかっていない」
(第3回につづく。第1回から読む)
※週刊ポスト2022年11月18・25日号