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梨泰院雑踏事故で警察のずさん体制が浮き彫りに 日本の警察関係者「目の前に危険があれば、対応するのが当り前」

渋谷でハロウィンの雑踏警備にあたる警察官たち(AFP=時事)

渋谷でハロウィンの雑踏警備にあたる警察官たち(AFP=時事)

 警察や軍関係、暴力団組織などの内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、韓国・梨泰院で起きた雑踏事故から再び注目が集まる雑踏警備と警察の心構えについて。

 * * *
「あの事故が所轄で起きたら、署長は即走って行きます」

 警察関係者A氏は即座に答え、こう続けた。「歩ける距離を、渋滞の中、車で向かうなどあり得ない」。

 10月29日の夜、ハロウィンを楽しもうと韓国ソウルの繁華街・梨泰院(イテウォン)に出かけた156人もの人が亡くなった雑踏事故。現場からの通報が相次ぐ中、現場を管轄する龍山(ヨンサン)警察署の李林宰(イ・イムジェ)前署長は、慌てることも急ぐこともなく平然と食事を続けている姿が、防犯カメラの映像に映っていたという。

 食事していた店は現場から歩ける距離にあった。だが前署長は車に乗って移動することにこだわった。当時はすでに道路が渋滞、それを避けるため迂回し、到着は大幅に遅れた。しかし署長は焦りを見せることなく、手を後ろに組みゆっくりと現場に向った。その時の様子を捉えた現場近くの監視カメラの映像を見ると、前署長の歩くスピードは周りの人々より遅いことがわかる。

 実際に、古い友人である某署の署長と夜遅く、蕎麦屋に出かけた時のことだ。蕎麦を食べ始めてすぐに彼の電話が鳴った。携帯を胸元から取り出し、発信元を見た瞬間、笑っていた彼の顔が緊張し声音が低くなった。「わかった。すぐ戻る」、上着を掴んで立ち上がると「悪いな。署に戻る」と一言。店員に「また来る」と千円札を渡すと、そのまま駆け出して行った。刑事ドラマによくあるシーンだが、度々描かれるだけあって珍しいことではない。

 何人かの署長経験者は現役時分、こんなことを言っていた。

「署長のうちはゴルフに行けない」
「宴会や会食があっても、酔っ払うほどは飲めない」

 いつでもすぐに駆けつけられる心構えを持つことも署長の務めのはずだが、龍山署の前署長は違っていた。

 だが署長に連絡がつかないという場合も絶対にないとは言えない。

「その場合は副署長に報告、連絡するが、課長判断で人員を動員、今回のような大事故なら最大動員するとともに、本部に応援を要請する」とA氏は述べ「事後承諾で」と付け加えた。

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