「屈託のない笑顔」「明るさ」「温かさ」は現在の中尾さんにとって最もわかりやすい魅力でしょう。常に笑顔を欠かさず、妻・仲里依紗さんとの仲も良好で、小学生男児の父親として子育てに励む姿は、好感度が増す一方。夫妻そろってYouTubeをはじめた2年あまりの間に、中尾さんの好感度が一気に上がった感があります。
もともと中尾さんは取材者ともすぐに打ち解けるなど「イメージ通り穏やかで気さくな人」と言われていたほか、共演者とも円満な関係を築くことで知られていました。知人のテレビマンは、共演者のタイプを選ばずコミュニケーションが取れる上に、明石家さんまさんをはじめ大物芸人からもかわいがられる中尾さんを「仕事には困らないタイプ」と称えていました。
そんな気さくさはMCに挑戦している『プチブランチ』でも健在。番組開始のあいさつで噛んでも満面の笑みを見せたり、初回から最新コスメを自ら体験したり、ひどい寝相姿の写真を公開したりなど、親近感を抱かせるような姿が目立ちます。
笑顔だけでない器用な努力家
『プチブランチ』では「カンペをガン見する」など、まだMCとしての進行に慣れていないものの、中尾さんは決して不器用なタイプではありません。俳優として幅広い役柄を演じるのはもちろん、声の仕事もこなすほか、脚本・演出を手がけたこともありますし、小説家やレーサーとしてもデビュー済み。
さらに、筋トレで体をバキバキに鍛えたり、小型船舶二級免許を取得したりなど努力を惜しまないタイプでもあり、これらの経歴や人柄が今回のMC起用にもつながったところもありそうです。
では今後、中尾さんはどんな存在になっていきそうなのか。
高い好感度が求められる朝の帯番組『プチブランチ』への起用でMCの道が広がったのは間違いないでしょう。国分太一さんや中山秀征さんのような笑顔をベースにした、いい意味でクセのないタイプとして、朝・昼・夜のどこで中尾さんがMCを務める新番組がスタートしても驚きはありません。
しかし、中尾さんは俳優として笑顔を封印し、クセの強い演技を見せることも可能。YouTubeでの自由な発信も含め、コンテンツに合わせてさまざまな顔を見せることができます。34歳という年齢は俳優としてもMCとしても脂が乗りはじめるころであり、「2022年の秋がのちにターニングポイントになった」と言われる日が来るかもしれません。
老若男女の区別なく、中尾さんを「嫌い」という人はあまりいないのではないでしょうか。それこそが不特定多数の目にふれるテレビタレントとしての強みであり、妻の活動を尊重しつつ父親として温かい目で子を見守る姿も含め、令和のアイコンになれる可能性を秘めています。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月30本前後のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演し、番組への情報提供も行っている。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。