空中ブランコや富士登山など、体当たり取材でおなじみの女性セブンの名物ライター“オバ記者”こと野原広子さん(65才)が、“卵巣がんの疑い”と診断され、女性セブンに病床からのレポートを寄稿している。そもそも、卵巣がんとはどんな病気なのだろうか。
婦人科疾患を多数手がけてきた「SALAレディースクリニック」(大阪府大阪市)の桝田充彦院長に卵巣がんについて聞いた。
「卵巣は子宮の左右にある親指大の臓器で、卵子を育み、女性ホルモンを分泌するという重要な役割を担っています。
しかし、子宮などほかの女性生殖器と異なり、体の外と直接つながっていないので、異変が起きてもわかりにくい。その卵巣にできる悪性腫瘍、つまり卵巣がんも、かなり進行するまでは自覚症状がほぼない。
早期発見が難しく、腹痛やお腹の張りといった自覚症状が出て婦人科に来られたときにはすでに進行がんであることが多く、死亡率の高いがんといえます」
──卵巣腫瘍について詳しく教えてください。
「卵巣は、ひものような組織で子宮や骨盤の壁とつながり、ハンモック状にぶら下がっています。卵巣の中では卵子がつくられて排卵されるので、卵巣内は細胞分裂がとても盛んで、腫瘍が発生しやすい環境であるともいえます。
卵巣にできる腫瘍は良性腫瘍、悪性腫瘍、境界悪性腫瘍に分けられ、このうち境界悪性腫瘍と悪性腫瘍が、いわゆる卵巣がんと呼ばれます。排卵回数が増えるほど卵巣がんが起こりやすく、そのため40才を過ぎると増えてくる傾向にあります」
──卵巣がんの患者さんの傾向は? なりやすいタイプなどはありますか?
「なりやすい・なりにくいというのはなく、卵巣があれば誰でも可能性があります。胃があれば胃がんになるのと一緒です。
ただ、排卵回数が多いかたほど悪性の腫瘍、いわゆる卵巣がんのリスクは高まるといわれていますから、次にあてはまるかたはリスク因子が高いといえるでしょう。
●初経が早かった
●不妊治療で排卵促進をした
●妊娠経験がない
●閉経が遅かった
●身内に子宮体がん・卵巣がん・乳がん・大腸がん経験者がいる
●肥満
そういったかたは少なくとも半年に1回、検査を受けることをおすすめしています」