──どのようにして、あの作品にたどり着いたのでしょう。
矢川:再開するにあたり、上映担当者にはその前年ぐらいから徐々に準備をしてもらっていました。『カメ止め』はENBUゼミナールさんの作品ですが、ENBUさんの特集上映はK’sシネマさんで毎年やってらっしゃるんです。その特集の時にうちの担当者が「ぜひ見に来てもらえませんか」って声をかけられて。
で、『カメ止め』はその最初の上映の六回とも満席にしているんです。上田監督やキャストがものすごく頑張って手売りしてたから。
それを見て担当者が即断で「これをもし単独で上映する機会があるんだったら、うちでやらせてもらえないか」とENBUの方に相談したわけです。K’sの人たちも「これはすごい。これで終わらせちゃったらもったいなさすぎるから、単独上映をしよう」と。これをうちとほぼ同時に言ったらしいんです。もともとK’sさんの特集企画なので、K’sさんにも了解いただいて、二館でスタートすることになりました。
【プロフィール】
矢川亮(やがわ・りょう)/池袋シネマ・ロサ支配人。劇場住所は東京都豊島区西池袋1-37-12ロサ会館。
【聞き手・文】
春日太一(かすが・たいち)/1977年生まれ、東京都出身。映画史・時代劇研究家。
※週刊ポスト2022年11月18・25日号