旧統一教会問題の収束が見えないなかで、逆境に立たされている岸田政権が起死回生の機会を模索しているようだ。永田町ではまさかの解散風が吹き始めているという──。
米国では中間選挙大敗必至と見られていたバイデン大統領が「負けなかった」ことで政権の求心力を回復した。東アジア首脳会議でバイデン氏の自信を取り戻した表情を目の当たりにした岸田文雄・首相は、そこに起死回生の解散・総選挙に向けた一筋の光明を見出した。
“大敗さえしなければなんとかなる”──政治ジャーナリストの藤本順一氏は、岸田首相の解散戦略をこう読む。
「岸田政権は旧統一教会問題に加えて閣僚の相次ぐ辞任で支持率が急落中です。基本的にはこうした状況で解散・総選挙は行なわないものだが、今回は首相に解散を打つメリットがある。
一つは、ネックとなっている旧統一教会問題を収束できること。旧統一教会の支援を受けていた議員は有権者の厳しい批判を受けて落選する可能性が高いし、それでも当選した議員は有権者の禊ぎを受けたことになる。総選挙によって自民党は旧統一教会とのしがらみを払拭した体制に生まれ変わることができる」
この際、自民党内の“旧統一教会汚染議員”を切り捨ててしまおうというのだ。
もう一つは、自民党内の勢力変化だという。
「旧統一教会と関係が深い議員の多くが最大派閥の安倍派に所属している。安倍派は岸田政権を支えているとはいえ、首相にとっては目の上のたんこぶのような存在です。いま解散総選挙を打てばその安倍派の勢力を削ぐことができる。
大敗して野党に転落すれば元も子もありませんが、野党は選挙準備をしていないから、自民党は議席を減らしても政権まで失うことにはならないという見通しはあるでしょう。
旧統一教会問題を早期に収束して安倍派以外の派閥に選挙の同意を取り付け、選挙後の政権運営のために野党の一部にも根回しする。そうした布石が打てれば、岸田首相にとって解散は現実的な選択肢になる」(同前)