旧統一教会問題の収束が見えないなかで、逆境に立たされる岸田政権が起死回生の機会を模索している。永田町ではまさかの解散風が吹き始めているのだ。政治ジャーナリストの藤本順一氏は、岸田文雄・首相の解散戦略をこう読む。
「今回は首相に解散を打つメリットがある。一つは、ネックとなっている旧統一教会問題を収束できること。旧統一教会の支援を受けていた議員は有権者の厳しい批判を受けて落選する可能性が高いし、それでも当選した議員は有権者の禊ぎを受けたことになる。総選挙によって自民党は旧統一教会とのしがらみを払拭した体制に生まれ変わることができる」
官邸と自民党は、“選挙向けの”バラマキ補正予算と被害者救済新法を成立させるために12月10日までの国会会期を1週間程度延長することを検討している。そうした布石を終えれば、新たな国会会期末となる12月18日前後に解散の準備が整うことになる。
では、岸田首相は解散で自民党を生まれ変わらせ、目論見通り政権の求心力を取り戻すことができるのだろうか。
今国会で衆院の定数を10増10減する新区割り法案が成立し、仮に「12・18解散」となれば変更後の区割りで総選挙が行なわれる。
そこで、選挙情勢分析の第一人者である政治ジャーナリスト・野上忠興氏の協力を得て、新区割りで議席予測をシミュレーションした。
楽勝選挙が落選危機に
『自民党の統一教会汚染 追跡3000日』の著者で同教団と政治家の関係を取材してきたジャーナリスト・鈴木エイト氏がこう指摘する。
「統一教会との関係を持った議員には選挙に弱い人が多い。教団の票そのものは多くないが、議員にすれば、信者は手弁当で熱心に選挙運動をしてくれるから集票マシンとして頼みになる。議員は1票でも多く欲しいから、選挙のたびに教団との関係が深まって抜けられなくなっていく。
しかし、次の選挙では統一教会からの支援がなくなるうえに、有権者の批判を浴びます。教団と関係のあった議員はとくに厳しい選挙になると考えられます」
では、選挙の専門家の野上氏の分析で汚染議員や辞任閣僚などの注目選挙区の情勢を見ていこう。