「あいうえお」順に整理
ほかに健康長寿の秘訣と聞かれて思いつくのは、睡眠のことくらい。私はこの歳まで、「眠れない」ということがないんです。
むしろ、油断すると眠ってしまう。電車通勤中に眠くなって寝てしまい、終点まで行って、その折り返しで目が覚めたこともありました。深夜遅くまで調べ物をしても、疲れたから寝ようと思えばいつでもどこでもスッと寝られる。これは自慢できます。
不眠症で病院に来られる方はいますが、私はその逆。ストレスがゼロで心配事はあっても、クヨクヨすることがない。問題やトラブルが起きた時、解決策は探りますが、基本的に悩まないことにしているからです。解決しないこと、わからないことがあるならとりあえず寝る。明日考えようとベッドに入るのが常です。
そしてありがたいのは、認知症になっていないことです。70代後半から80代になれば、認知症の原因とされるβアミロイドが脳内に溜まりやすいとされますが、これを防ぐには常に脳を使うしかない。私は仕事上、本をたくさん読みますが、クリスチャンでもあるので、聖書関連の本をよく読み、読んだことを自分でまとめたりしています。確かに、この歳でも頭を使っているとは思います。
もちろん私も、85歳くらいからは人の名前がすぐに出てこなかったりはします。その時は「あいうえお」と順番に頭の中で整理することで思い出します。物忘れはあるが、物事の判断能力は落ちていません。
この歳まで現役を続けて思うのは、今の世の中が、あまりに自己中心的な考えに染まっていることです。脳の働きから言っても、6歳頃までが大事になるので家庭での倫理、道徳教育が重要になることをぜひ皆さんに知ってほしいですね。
※週刊ポスト2022年12月2日号