精神科医の和田秀樹氏が書いた『80歳の壁』がベストセラーになっているが、健康寿命を延ばすためには何を心がければ良いか──それを知る“生き証人”が80歳を越えた今も現役で活躍する医師たちだ。湯川胃腸病院院長の白方誠彌氏(91)に、健康でいられる秘訣を聞いた。
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院長という肩書ですが、実際は管理者的な業務をしています。専門は脳外科で、今も別の病院長をしていた頃の患者さんが15人ほど来院されます。
休診日以外は、今も大阪の病院に電車で通っています。足が丈夫だった頃は自宅の兵庫県西宮市から阪急とJRを使い、天王寺まで電車で往復していました。90歳を過ぎ足が衰えたこの1年半ほどはタクシーを使う機会が増えましたが、できるだけ電車に乗る努力をしています。
私は80歳の壁は感じることはありませんでした。ゴルフは85歳までやっていましたし、膝はまったく問題なく、腰がちょっと痛くなったのは85歳くらいから。運転免許も85歳で返納しました。これは自宅のガレージにバックで駐車しようとして、家内に「下手になったね。やめたほうがいい」と言われたからで、前進だけならまだ運転できたと思います(苦笑)。
そんな私が体が弱くなったと感じたのは90歳でした。体を動かしづらく感じ、杖を使うようになって実感しました。
長生きのためにやってきたことは特にないですが、若い頃から「草野球」が好きで、これが途中からゴルフに変わりました。これらは好きでやっていただけで、健康のためにと意識したつもりはありません。
食べ物は好き嫌いなく、出されたものは何でも食べます。朝はパン、昼は病院、夜は家内の手料理と、1日3食をしっかり。魚でも肉でも、出されたものを食べ、特に野菜を摂らなければと意識することもありません。
あとは、医学部で学んだ「ビタミンの大切さ」を意識して、食べ物から摂取することはもちろん、ビタミンCとB1を錠剤で飲み続けています。