テレビで放送される特別番組に最近、新たな傾向が見られるという。それは“唐突特番”とも言うべきものだという。いったいどういうものか? そしてテレビ局の狙いとは? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。
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民放各局が改編期でもない11月中旬から下旬にかけて、ネット上に「何この番組?」「なぜ今これを放送?」などの声があがる特番を放送しています。10日~23日の2週間で放送される主なゴールデンタイム特番をざっと挙げていくと……
10日―『見抜けば儲かる!』(フジテレビ系)、『ベストヒット歌謡祭』(日本テレビ系)
11日―『学校中を笑わせよう!』(TBS系)
14日―『超逆境クイズバトル!! 99人の壁 サッカーSP』(フジテレビ系)
15日―『あなたのコネのおかげです』(フジテレビ系)
16日―『復活!人生が変わる1分間の深イイ話SP』(日本テレビ系)、『あいつ今何してる? 2時間SP』(テレビ朝日系)
17日―『歌のゴールデンヒット―歴代歌姫の1番売れた歌ランキングBest100―』(TBS系)
18日―『我流しか勝たん!全部やれば34万5542円節約できるぞSP』(フジテレビ系)、『サッカーW杯開幕直前 緊急アメトーーーーク! 日本代表応援芸人』(テレビ朝日系)
19日―『技術界の怪物が夢の対決!THEモンスターバトル』(TBS系)、『ドラフトコント2022』(フジテレビ系)
20日―『誰も知らない明石家さんま 第8弾』(日本テレビ系)
21日―『行列GET旅』(TBS系)
22日―『これが定番!世代別ベストソング ミュージックジェネレーション』(フジテレビ系)
23日―『天才たちのドッキリ 叡智のムダ使い』(TBS系)、『世界アニマル&キッズ動画スペシャル』(テレビ朝日系)
これらはいずれも2時間以上のゴールデン特番。かつてレギュラー放送されていた『深イイ話』や『あいつ今何してる?』も含め、20日に開幕するサッカーワールドカップ関連の『99人の壁』と『アメトーーーク』以外は、「なぜ今?」と思わせるものばかりです。
なぜ改編期でもない11月のゴールデンタイムに、レギュラー番組とはまったく関連のない“唐突特番”が連日放送されているのでしょうか。
「あの番組と似ている」特番がズラリ
前述した特番の内訳を見ていくと、まず目につくのが、生活情報系の『見抜けば儲かる!』と『我流しか勝たん!』。ともに「日常生活で得すること」を前面に押し出した内容で、主婦層をメインターゲットに据えた視聴率で失敗しづらいタイプの番組です。
次に注目したいのは、かつて放送されていた番組と似ている特番。『学校中を笑わせよう!』は『学校へ行こう!』(TBS系)、『あなたのコネのおかげです』は『グレートコネクション』(日本テレビ系)、『THEモンスターバトル』は『ほこ×たて』(フジテレビ系)や『魔改造の夜』(NHK)、『行列GET旅』は『いきなり!黄金伝説 大行列のできる即日完売グルメ』(テレビ朝日)あたりが思い浮かぶのではないでしょうか。同じTBSが手がけている『学校を笑わせよう!』は“セルフリメイク”の感がありますが、その他は「ウチでもこういう番組ができないか」という企画意図がうかがえます。
幅広い年齢層の視聴が見込めるため、業界内で「企画に困ったときは歌」と言われる『歌のゴールデンヒット』『ミュージックジェネレーション』も含め、共通しているのは作り手たちの「失敗できない」という思い。休日だけでなく平日の夜も、録画に加えてVOD(ビデオ・オン・デマンド)やYouTubeなどのネット視聴が浸透してリアルタイムで見てもらうことが難しくなり、手堅い企画が選ばれているのでしょう。