大相撲九州場所のウラで、前代未聞のトラブルが起きている。7月の名古屋場所で初優勝を果たした逸ノ城(前頭2枚目)と師匠である湊親方(元前頭・湊富士)の確執が深まり、会話すら通じない異常事態に陥っているのだ。徹底取材で真相に迫った。【全3回の第1回】
生ビール大ジョッキ30杯
九州場所直前にスポーツ紙を賑わせたのは、土俵上の話題ではなかった。
〈逸ノ城、おかみに暴行疑惑〉(11月11日付、サンケイスポーツ)
〈逸ノ城と湊親方 修復不可能〉(同12日付、日刊スポーツ)
酒に酔った逸ノ城が、湊部屋のおかみさんに暴力を振るった疑惑などが、相次いで報じられたのだ。
今年7月に新入幕から47場所で初優勝を遂げたモンゴル出身の逸ノ城は、190cm・212kgの巨体。その逸ノ城の暴力となれば、かつて立浪部屋(当時)のおかみさんを突き飛ばすなどして廃業に追い込まれた横綱・双羽黒の例さえ想起される。
場所が始まっても、逸ノ城は問題について何も語らない。一体、何が起きているのか──湊部屋後援会幹部が取材に応じた。
「逸ノ城がおかみさんに暴力を振るったと報じられていますが、これは最近の話ではないんです」
後援会幹部は、コロナ前に街を自由に飲み歩けた頃の話だと証言する。
「逸ノ城は酒が強いが、飲み始めたら止まらない。酩酊して暴言を吐いたり、暴力を振るったりする。一人で飲みに行かせられないので、おかみさんが部屋のある川口市内のお店などに一緒に行っていた。いわば監視役です。
200kgの巨体が酔い潰れたら動かせませんから、意識があるうちにタクシーに押し込んで連れ帰る。そうした時に暴れておかみさんを突き飛ばしたり、腕を掴んだりして、アザができることがしょっちゅうあった。シラフで暴れた双羽黒の例と違って、問題は酒なんです」
とにかく逸ノ城の酒量は半端ではないという。
「生ビールを大ジョッキで30杯は軽く飲む。自分の前に空のジョッキを積み上げるのが好きで、店員が“ジョッキが足りないので下げさせてください”と頼みにくるくらい。生ビールの後はウイスキー。それほど強いのに酔い潰れるまで飲んでしまうんです」(同前)