就任1年目の今年、セ・リーグ最下位に終わった中日の立浪和義監督が積極的に動いている。不動のセカンドであった阿部寿樹と楽天・涌井秀章、昨年までショートのレギュラーだった京田陽太とDeNA・砂田毅樹の交換トレードを成立させた。2019年から二遊間を組んできた2人の放出でチーム改革を図っている。
「立浪監督は師と仰ぐ星野仙一監督のやり方に倣っていると思います。星野監督は就任した1986年オフにロッテの三冠王・落合博満を獲得しただけでなく、翌年オフにはチームの顔で37歳の大島康徳内野手、30歳の曽田康二投手を放出し、日本ハムから27歳の田中富生投手、33歳の大宮龍男捕手を獲得した。また、1986年に盗塁王に輝いた32歳の平野謙外野手を出して、西武から通算15勝しか挙げていない25歳の小野和幸投手を迎え入れた。トレード当時は疑問視する声もありましたが、小野は中日1年目に18勝で最多勝になり、星野監督の胴上げに大きく貢献しました」(プロ野球担当記者。以下同)
星野監督は優勝した1988年オフにも、セ・リーグで初めて捕手でMVPを獲得した中尾孝義と巨人のエースだった西本聖、若手の加茂川重治の1対2の交換トレードを成立させるなど、在任中全ての年で血の入れ替えを行なっていた。1996年からの2次政権中も、1998年オフに大豊泰昭と矢野輝弘を放出し、阪神から関川浩一と久慈照嘉を獲得して翌年の優勝に結びつけている。
「チームに緊張感を与える意味もあったのでしょう。立浪監督は星野監督の2年目に入団し、新人王になって優勝に貢献した。大半の指揮官は現役時代に仕えた監督に影響を受けますが、立浪監督も星野流を引き継いでいると言えるでしょう。今年5月には、京田の守備に怒って試合中に強制送還を命じて二軍落ちさせた。“恐怖政治”も似ています。
ただ、星野監督は2011年から楽天を率いた時には、中日の指揮を取っていた頃と違い、穏やかになっていた。時代によって選手の気質は変わる。その辺の空気を読む力があったので、2013年に楽天を日本一にできたのでしょう。立浪監督は中日時代の星野監督のような厳しさを全面に出していますが、少なくとも今年の成績を見る限り、そのやり方はまだ成功しているとは言い難い」