国内

特殊詐欺で得たカネで開かれたラーメン屋や高齢者施設の末路

2015年、特殊詐欺グループのアジトから押収された名簿や固定電話など。摘発や逮捕に至った特殊詐欺犯は、氷山の一角(イメージ、時事通信フォト)

2015年、特殊詐欺グループのアジトから押収された名簿や固定電話など。摘発や逮捕に至った特殊詐欺犯は、氷山の一角(イメージ、時事通信フォト)

 特殊詐欺の被害額はピークの2014年時点で500億円超だが、ほとんどが被害者に弁済されることなく、この世のどこかへ消えている。その金は、いったい何に使われていったのか。ライターの森鷹久氏が、犯罪収益の使い道についてレポートする。

 * * *
 いわゆるオレオレ詐欺に代表される「特殊詐欺」の認知件数や被害額は、平成終盤をピークに右肩下がりの傾向にある一方で、依然として年間一万件以上の事案が報告されている。テレビニュースや新聞等では、特殊詐欺犯人が検挙されたと毎日のように報じているが、実は逮捕されるのは特殊詐欺に手を染めた大多数のうちの、ごく一握りだ。では、法で裁かれないまま特殊詐欺の世界から離れた人たちは、法で裁かれずとも反省して自分を律して生きているのかといえば、「更生」とはそんなに簡単なことではないらしい。真面目に生きて仕事をしているふりをしながら、平然と給付金や協力金を詐取するという反社会的行為をして、再び逃げおおせようとしている。

「ああ、詐欺ラーメンね」

 千葉県内の繁華街──次々にお客さんが入っていくラーメン店を眺めながら、現在は土木作業員として働く男性・トヨミ氏(仮名・40代)は苦笑交じりに言った。視線の先にあるラーメン店の経営者は、逮捕こそされなかったが、特殊詐欺グループを率いていたことで知られた男なのだと明かす。トヨミ氏は、以前の仕事や遊び仲間たちとの繋がりから、羽振りがよかった彼が何を生業にしているのかを知ることになった。

「ラーメン店店主は元々地元の暴走族で半グレ。10人ぐらいのグループでリフォーム詐欺やオレオレ詐欺をやって、相当儲かったと聞きました。彼が駒として使っていた受け子は何人かパクられましたが、リーダー格だった彼まで捜査の手が及ぶことはなく、5年ほど前に詐欺からは一切手を引き、飲食をやると言ってたそうですよ」(トヨミ氏)

 現在40代とみられるラーメン店店主は、30代の頃に詐欺で荒稼ぎし、地元暴力団などにも「上納金」を納め、反社組織とも友好関係を築いていた。好調に稼いでいたので、しばらく詐欺を生業にするものだと思われていたが、周囲で逮捕者が続出すると、逃げ出すように足を洗った。その後、現在のラーメン店を開いたのだが、その開店資金となったのはもちろん、詐欺で得られた金だと言われている。一見すると、真面目になったふりをしているようにも見えたが、男を信用してはならないと、トヨミ氏と親しい人たちは見ていた。

「以前、過去を知るチンピラが恐喝したそうなんですが、もう今は一般人だからと開き直り、警察に逃げ込んだ。逮捕されてないだけの詐欺師のくせに、その件をSNSで公開していて被害者だと強調していて呆れましたよ。しかも、詐欺をやっていた過去は”ウソ”と触れ回っているようです」(トヨミ氏)

関連記事

トピックス

不倫を報じられた田中圭と永野芽郁
《永野芽郁との手繋ぎツーショットが話題》田中圭の「酒癖」に心配の声、二日酔いで現場入り…会員制バーで芸能人とディープキス騒動の過去
NEWSポストセブン
父親として愛する家族のために奮闘した大谷翔平(写真/Getty Images)
【出産休暇「わずか2日」のメジャー流計画出産】大谷翔平、育児や産後の生活は“義母頼み”となるジレンマ 長女の足の写真公開に「彼は変わった」と驚きの声
女性セブン
春の園遊会に参加された愛子さま(2025年4月、東京・港区。撮影/JMPA)
《春の園遊会で初着物》愛子さま、母・雅子さまの園遊会デビュー時を思わせる水色の着物姿で可憐な着こなしを披露
NEWSポストセブン
田中圭と15歳年下の永野芽郁が“手つなぎ&お泊まり”報道がSNSで大きな話題に
《不倫報道・2人の距離感》永野芽郁、田中圭は「寝癖がヒドい」…語っていた意味深長な“毎朝のやりとり” 初共演時の親密さに再び注目集まる
NEWSポストセブン
春の園遊会に参加された天皇皇后両陛下(2025年4月、東京・港区。撮影/JMPA)
《春の園遊会ファッション》皇后雅子さま、選択率高めのイエロー系の着物をワントーンで着こなし落ち着いた雰囲気に 
NEWSポストセブン
週刊ポストに初登場した古畑奈和
【インタビュー】朝ドラ女優・古畑奈和が魅せた“大人すぎるグラビア”の舞台裏「きゅうりは生でいっちゃいます」
NEWSポストセブン
現在はアメリカで生活する元皇族の小室眞子さん(時事通信フォト)
《ゆったりすぎコートで話題》小室眞子さんに「マタニティコーデ?」との声 アメリカでの出産事情と“かかるお金”、そして“産後ケア”は…
NEWSポストセブン
逮捕された元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告(過去の公式サイトより)
「同僚に薬物混入」で逮捕・起訴された琉球放送の元女性アナウンサー、公式ブログで綴っていた“ポエム”の内容
週刊ポスト
まさに土俵際(写真/JMPA)
「退職報道」の裏で元・白鵬を悩ませる資金繰り難 タニマチは離れ、日本橋の一等地150坪も塩漬け状態で「固定資産税と金利を払い続けることに」
週刊ポスト
2022年、公安部時代の増田美希子氏。(共同)
「警察庁で目を惹く華やかな “えんじ色ワンピ”で執務」増田美希子警視長(47)の知人らが証言する“本当の評判”と“高校時代ハイスペの萌芽”《福井県警本部長に内定》
NEWSポストセブン
悠仁さまが大学内で撮影された写真や動画が“中国版インスタ”に多数投稿されている事態に(撮影/JMPA)
筑波大学に進学された悠仁さま、構内で撮影された写真や動画が“中国版インスタ”に多数投稿「皇室制度の根幹を揺るがす事態に発展しかねない」の指摘も
女性セブン
奈良公園と観光客が戯れる様子を投稿したショート動画が物議に(TikTokより、現在は削除ずみ)
《シカに目がいかない》奈良公園で女性観光客がしゃがむ姿などをアップ…投稿内容に物議「露出系とは違う」「無断公開では」
NEWSポストセブン