国際情報

ソ連の独裁者スターリンと重なるプーチンの手法「失われた帝国を再興しようとしている」と舛添要一氏

プーチンは「スターリン批判」を禁じている(Getty Images)

プーチンは「スターリン批判」を禁じている(Getty Images)

 ウクライナへの侵略行為を続けるロシア。それを率いるプーチン大統領の政治手法を理解するには、ロシアが辿った歴史にも目を向ける必要がある。実際、プーチンはかつてロシアを統治した独裁者に多くを学んでいるという。

 国際政治学者・舛添要一氏は、最新刊『スターリンの正体 ヒトラーより残虐な男』のなかで、ロシアのプーチン大統領と、20世紀の同国で恐怖政治を敷いたソ連の独裁者・スターリンの共通点について次のように指摘する。

〈2022年2月24日、ロシア軍がウクライナに侵攻しました。これは国際法違反の侵略行為ですが、ロシアの指導者プーチン大統領は、ソ連邦崩壊によって失われた「ロシア帝国」を再興しようとしています。彼は、第二次世界大戦に勝利し、領土を拡張し、ソ連邦を世界の大国に押し上げたスターリンを尊敬し、スターリン批判を禁止しています〉(舛添要一『スターリンの正体』)

 ソ連時代、KGB(ソ連国家保安委員会)の職員だったプーチンの経歴も見逃せない。

〈プーチンは、スターリンが政治の重要な手段とした秘密警察の出身で、政敵を排除する手法も、スターリンに多くを学んでいます。また、スターリンは、世界全体の共産主義化よりも、ロシアの国益を優先し、ナショナリズムを動員することに長けていました〉(前掲書)

(Getty Images)

「ファシズムとの戦い」のスローガンもスターリン譲りだった(Getty Images)

 ウクライナに侵攻した際にプーチンが掲げた「ファシズムとの戦い」は、(ヒトラー率いるナチスドイツと戦った)スターリンのスローガンそのものだった。

〈1939年9月1日にヒトラーはポーランドに侵攻し、第二次世界大戦が勃発しますが、それはスターリンとの約束(独ソ不可侵条約)を背景にしたものでした。ドイツとソ連はポーランドを分割して奪い取ります。ところが、1941年6月には、ドイツがソ連に侵攻し、独ソ戦が始まります。スターリンは、「ファシズムとの戦い」をスローガンに、ヒトラーと戦い、最後にはドイツを降伏させます。

 プーチンは、このときの勝利をノスタルジーをもって讃(たた)え、ウクライナとの戦いを「ファシストとの戦い」と位置づけています。プーチンは、2000年にチェチェン、2008年にグルジア、2014年にクリミアと軍事介入し、いずれも期待通りの成果をあげ、ロシア国民の間で人気を高めました〉(前掲書)

関連キーワード

関連記事

トピックス

田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
暴力団幹部たちが熱心に取り組む若見えの工夫 ネイルサロンに通い、にんにく注射も 「プラセンタ注射はみんな打ってる」
NEWSポストセブン
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン