スポーツ

森保一監督「どん底」から始まった現役時代 「ドーハの悲劇」ではベランダで泣いていた

元同僚などが語る森保一監督の素顔とは(時事通信フォト)

森保一監督の現役時代とは(時事通信フォト)

 サッカーW杯カタール大会グループリーグ初戦で強豪・ドイツを破り、決勝トーナメント進出の期待が膨らんでいるサッカー日本代表。大金星をあげたサムライブルーを率いる森保一監督(54)を巡ってはその指導力に大会開催前は賛否が渦巻いたが、彼の素顔をよく知るプロたちは激動のドイツ戦を迎える前から「森保流サッカー」を高く評価していた。森保氏の原点はどこにあるのか。【前後編の前編】

 彼の選手人生は「底」から始まった──。森保氏は1987年に当時在籍していた長崎日大高校の下田規貴監督と日本サッカーリーグ・マツダSC(現サンフレッチェ広島)の今西和男総監督が知り合いだった縁で、マツダの入団テストを受ける。この時の印象を今西氏が語る。

「線が細く、足は速くないし技術もなかったが、驚いたのは視線です。ほとんどの選手が足元ばかり見てプレーするなかでも森保くんだけは常に周囲を見渡し、素早く的確なパスを出していた。それほど視野の広い選手は日本におらず、伸びしろがあると判断した。当時マツダのコーチだったハンス・オフト(後の日本代表監督)も森保くんの非凡な才能を見抜き、採用を決めたんです」

 無名選手の名門マツダ入りには本人も周囲も驚いたというが、落とし穴が待っていた。

 入社前に採用枠がひとり分減り、最低評価だった森保氏はマツダ本社ではなく子会社のマツダ運輸に配属されたのだ。

「18歳の森保くんは毎日梱包の仕事を終えてからサッカーの練習をしていました。本社採用の同期とは待遇も給与も異なり、つらい環境だったはずですが、不貞腐れずに好きなサッカーに打ち込んだことが彼を成長させたと思います」(今西氏)

 勤勉さが評価され、子会社入社から1年後に本社採用となった。当時はJリーグ発足前のアマチュア時代。今西氏はサッカー引退後のキャリアを見据えて、所属選手を教育した。

「『サッカー選手である前によき社会人であれ』のモットーで、選手の社会的な知見を広げる教育も試みました。社内の教育訓練部の協力を得て選手に英会話を学ばせたりレポートを課したりするなかで、“組織内でどんな役割を持ち、どう振る舞うべきか”という考えも教えていきました。森保くんは人一倍真剣に考えていましたね」(同前)

 森保氏は、自著『プロサッカー監督の仕事 非カリスマ型マネジメントの極意』(カンゼン刊)内で、監督としてのあるべき姿についてこう語っている。

〈僕の中では、試合に勝って、チームがうまく回っているときには、自分が目立つ必要はないと思っています。それは現役時代のときも同じです〉

 森保氏について、「動きが見えない」「策がない」との批判が出ることがあったのは、彼の黒子に徹するという信念ゆえかもしれない。

関連記事

トピックス

六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
《ヤクザの“ドン”の葬儀》六代目山口組・司忍組長や「分裂抗争キーマン」ら大物ヤクザが稲川会・清田総裁の弔問に…「暴対法下の組葬のリアル」
NEWSポストセブン
テンテン(c)「幽幻道士&来来!キョンシーズ コンプリートBDーBOX」発売:アット エンタテインメント
《キョンシーブーム『幽幻道士』美少女子役テンテンの現在》7歳で挑んだ「チビクロとのキスシーン」の本音、キョンシーの“棺”が寝床だった過酷撮影
NEWSポストセブン
女優の趣里とBE:FIRSTのメンバーRYOKIが結婚することがわかった
女優・趣里の結婚相手は“結婚詐欺疑惑”BE:FIRST三山凌輝、父の水谷豊が娘に求める「恋愛のかたち」
NEWSポストセブン
タレントで医師の西川史子。SNSは1年3ヶ月間更新されていない(写真は2009年)
《脳出血で活動休止中・西川史子の現在》昨年末に「1億円マンション売却」、勤務先クリニックは休職、SNS投稿はストップ…復帰を目指して万全の体制でリハビリ
NEWSポストセブン
中川翔子インスタグラム@shoko55mmtsより。4月に行われた「フレンズ・オブ・ディズニー・コンサート2025」には10周年を皆勤賞で参加し、ラプンツェルの『自由への扉』など歌った。
【速報・中川翔子が独立&妊娠発表】 “レベル40”のバースデーライブ直前で発表となった理由
NEWSポストセブン
板倉東洋大前駅Pの駅情報。1日平均乗降客数は2023年度で3,404人(東武鉄道HPより)
《大学名を冠した駅名は大学が移転したらどうなる?》東洋大学と北海道医療大学のキャンパス移転で、駅名を巡る「明暗」
NEWSポストセブン
奈良公園で盗撮したのではないかと問題視されている写真(左)と、盗撮トラブルで“写真撮影禁止”を決断したある有名神社(左・SNSより、右・公式SNSより)
《観光地で相次ぐ“盗撮”問題》奈良・シカの次は大阪・今宮戎神社 “福娘盗撮トラブル”に苦渋の「敷地内で人物の撮影一切禁止」を決断 神社側は「ご奉仕行為の妨げとなる」
NEWSポストセブン
“凡ちゃん”こと大木凡人(ぼんど)さんにインタビュー
「仕事から帰ると家が空っぽに…」大木凡人さんが明かした13歳年下妻との“熟年離婚、部屋に残されていた1通の“手紙”
NEWSポストセブン
太田基裕に恋人が発覚(左:SNSより)
人気2.5次元俳優・太田基裕(38)が元国民的アイドルと“真剣同棲愛”「2人は絶妙な距離を空けて歩いていました」《プロアイドルならではの隠密デート》
NEWSポストセブン
『ザ・ノンフィクション』に出演し話題となった古着店オーナー・あいりさん
《“美女すぎる”でバズった下北沢の女子大生社長(20)》「お金、好きです」上京1年目で両親から借金して起業『ザ・ノンフィクション』に出演して「印象悪いよ」と言われたワケ
NEWSポストセブン
花の井役を演じる小芝風花(NHKホームページより)
“清純派女優”小芝風花が大河『べらぼう』で“妖艶な遊女”役を好演 中国在住の実父に「異国まで届く評判」聞いた
NEWSポストセブン
第一子を出産した真美子さんと大谷
《デコピンと「ゆったり服」でお出かけ》真美子さん、大谷翔平が明かした「病院通い」に心配の声も…出産直前に見られていた「ポルシェで元気そうな外出」
NEWSポストセブン