サッカーW杯カタール大会、1次リーグ・グループE組の2戦目で日本はコスタリカに0対1で敗れた。テレビ朝日では松木安太郎氏と内田篤人氏が解説を務め、視聴率42.9%(ビデオリサーチ調べ/関東地区。以下同)をマークした。松木安太郎研究家でライターの岡野誠氏はこの一戦で、松木氏のキラーフレーズである「いいボールだ!」の使い方に微妙な変化を感じ取っていた──。
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近年、松木安太郎氏が「いいボールだ!」という回数が減っている。
コスタリカ戦では後半32分相馬勇紀のCKに「おお、いいボールがきた!!」、続く33分の伊東純也のCKに「よっしゃ、いいボール!」と叫んだ。後半26分には鎌田大地が右サイドの伊東にロングフィードした際、吉野真治アナが「いいボールが通った!」と実況すると、「いいボールだ!」と追随した。ただ、松木氏の「いいボールだ!」の魅力は、選手が蹴った瞬間や直後に発する点にある。このシーンはあくまで『結果論いいボール』だった。
つまり、コスタリカ戦を通して、松木氏は本当にいいボールになるか不明の状態で2度しか「いいボール」と叫んでいない。内田篤人氏の「いいボールだ!」(前半32分、37分)と同じ回数に留まった。
これは以前の松木氏の解説を知る者にとっては、大いなる“異変”である。いったい、何が起こっているのか。かつての松木氏は、あまりに不用意に「いいボールだ!」と叫んでいる側面もあった。その好例として、2005年2月9日、ドイツW杯アジア最終予選の日本対北朝鮮戦の松木氏の解説を振り返ってみよう。
【※以下、ゴール前へのクロス「いいボール」を対象。左から試合時間(テレビ画面表示)、選手名、松木氏の叫び、その結果。本当にいいボールなら○、そうでなければ×】
前半27分 小笠原満男 「あ~いいボールだ!」→ DF難なくクリア ×
前半27分 鈴木隆行 「いいボールだ!」→ あと一歩、宮本恒靖に及ばず ○
前半32分 三都主アレサンドロ 「おおっ~いいボールだ!!」→ 誰にも合わず、GKパンチング ×
前半41分 小笠原満男 「おお、いいボールだ!!」→ GK正面。難なくパンチング ×
前半44分 三都主アレサンドロ 「おっおっ、いいボールだ!」→ DF難なくクリア ×
前半44分 小笠原満男 「お、いいボールだ!!」→ 鈴木隆行がヘディングシュート ○
後半1分 三都主アレサンドロ 「いいボールだ! 打て! 打て!」 → 玉田圭司、鈴木隆行に惜しくも届かず ○
後半12分 加地亮 「いいボールだ!」→ DF正面、ヘッドでクリアされる ×
後半21分 加地亮 「いいボールだ! よしっ!」→ 高原直泰がGKと競るもクリアされる ○
後半37分 三都主アレサンドロ 「いいボールだ!」→ DF難なくクリア ×
10回も「いいボールだ!」と叫びながら、本当にいいボールは4回しかなかった。