厚労省の発表によると、腰痛に悩む人は約3000万人。この国民病とも言える腰痛の原因について、新たな知見が示された。腰痛持ちの人は、腰の形が「バナナ」になっているというのだ。これが全身の不調にもつながっている上、簡単なストレッチで改善するというのだから、実践しない選択肢はない。
ストレートネックも
「腰痛の原因のほとんどは、腰が反りすぎた“バナナ腰”にあります」
そう話すのは、『「バナナ腰」を治せば、体の不調が消える!』(小社刊)の著者で、YouTubeでも腰痛改善法を発信している整体師のとも先生だ。自身も椎間板ヘルニアになり、腰痛に悩まされた経験を持つ。
「座りっぱなし、立ちっぱなしの仕事や、悪い歩行姿勢、スマホの見すぎなど、日常生活を送るなかで筋肉がしだいに硬くなり、体の中心にある骨盤が歪むことで、バナナのように反った状態になる。それが腰痛の主な原因です」(とも先生)
バナナ腰は様々な症状を引き起こす。そのひとつが「坐骨神経痛」だ。
「腰が反っていると背骨の間から出ている腰の神経が圧迫される。姿勢が崩れてお尻の筋肉が硬くなっていると、お尻の筋肉の下にある坐骨神経が圧迫され続けて痛みが出ます」(同前)
東京都在住のAさん(66)は、足に痺れと痛みを感じるようになり、改善のためにウォーキングを始めたが、症状は悪化するばかりだった。
「良い姿勢でいることを意識していたし、まだ腰だって曲がっていないのに……。湿布を貼ったり痛み止めを飲んだりしても一向に痛みは引かず、ウォーキングどころか日常生活もままならない状態に。妻に伴われて病院に行くと、『脊柱管狭窄症』と診断された。腰の反りすぎが原因だとも指摘されました」(Aさん)
脊柱管狭窄症もバナナ腰によって起きやすいと、とも先生は語る。
「脊柱管狭窄症は背骨のなかにある脊柱管が狭くなり、内部の神経を圧迫することで起こります。Aさんのように姿勢を良くしようと意識するあまり、腰が反ってバナナ腰になっているのはよくあるケース。私が診察してきた経験では、脊柱管狭窄症のほとんどがバナナ腰です」