人心に根ざした「宗教」が社会的関心事となっている一方、どこか別世界のように捉えている人は多いのではないだろうか。だが、私たちが普段画面を通して見ている「芸能界」とも、深いつながりがあって──。
「選挙の際、公明党の候補者の応援に駆けつけました。選挙カーの上に乗って街頭演説をしたこともあります。『間違いない!』と言うと、集まった人たちも喜んでくれました。私のように創価学会の『芸術部』に所属する芸能人は、いわゆる広告塔であり、客寄せパンダのような存在です。票を獲得するための活動も、信者の芸能人の大きな役割だったと思います」
そう話すのは、「間違いない!」のフレーズでブレークしたお笑い芸人の長井秀和氏(52才)だ。長井氏は両親が宗教団体「創価学会」の信者であり、いわゆる「宗教2世」。小学3年生のときに「創価系列」の小学校に編入して以来、大学まで系列を貫いた自称“創価エリート”だった。いまから10年前に脱会し、現在はこの12月の西東京市議選を見据えて政治活動を行っている。
2世信者だった長井氏と異なり、芸能界に入ってから入信するケースも多いという。
「芸能界でも売れている人や学会内での立場が高い人が新人や後輩を折伏(勧誘のこと)するのは、よくあります。学会というのは、お互いに協力し助け合う互助会組織のような側面があるので、芸能界という荒波の中で、ひとつの寄る辺のような存在に感じるのだと思います。
私の知る限り、大御所の学会員タレントが、あるピン芸人を勧誘していたことがありました。当時、その芸人は家庭問題や仕事のことでストレスがたまっていたようでした。
大御所タレントに相談に乗ってもらい、“これを信心するといいよ”と言われて入信していました。しばらくしてそのピン芸人は脱会しましたけど、トラブルがあったわけではありません。プラスに解釈すると、学会員のみなさんは面倒見がいいということなんですよね。頼り甲斐があるというか」(長井氏・以下同)
浮き沈みの激しい芸能界では、学会の人的なネットワークがセーフティーネットのように働いている側面もあるのだろう。