いよいよクライマックスに向けて大詰めを迎えるNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』。入れ替わりの激しい豪華キャストの中で、北条義時(小栗旬)や政子(小池栄子)と並んで1年間にわたって出演し続けたのが彼らの妹・実衣を演じた宮澤エマ(34)だ。ベテラン芸能ライターが言う。
「宮澤さんは本作で完全にブレイクしたと言えるでしょう。前半はひょうきんな癒やしキャラだった彼女が、源頼朝(大泉洋)の死後は、夫の阿野全成(新納慎也)や乳母を務めた源実朝(柿澤勇人)を通じて権力欲に目ざめ、彼らの死によってどんどん闇堕ちしていく。そうした変化を、本来の実衣のイメージを崩すことなく見せてきた宮澤さんの演技は、見事と言うほかありません」
そんな彼女だが、11月25日放送の『アナザースカイ』(日本テレビ系)にゲスト出演した際、ここに至る下積み時代には苦労があったことを明かした。
「宮沢喜一元首相の孫、みたいな。そういう肩書での出演から始まって。特に隠したいってこともなかったんですけど、それを売りにテレビに出たいとは思ってなかったので。複雑だなと思いながらもクイズ番組やったり、情報番組に出させてもらったりしてました」
そうした経験を経て、演技の道で花開いたのだという。今から10年前、2012年から彼女が出演していた情報番組『ニッポン・ダンディ』(MXテレビ)で共演していたのが、漫画家の倉田真由美氏だ。倉田氏は、「エマちゃんが肩書を売りにしていた印象は一切ない」と当時を振り返る。
「彼女はとても聡明なんだけど、いつもそう感じさせない物腰や対応に感心していました。若いタレントの方がコメンテーターになると、背伸びしたコメントをしたり、博識ぶる人が多いですが、エマちゃんにはそういうところが全然ない。気取ったところがないんですね。
いわゆる2世タレントの中で、血筋やバックボーンを表看板にする人と、それにとらわれない人がいますが、彼女は完全に後者。だいたい一緒に仕事をすると、家柄を肩書にしている人はそういう空気感が伝わってきますが、彼女からは一切感じなかった。女優さんやタレントでも継続して活躍するのは難しい。宮澤喜一の孫という肩書だけで、これだけ芸能界で活躍できるわけはないですから。もちろん、ひとつの売りにはなったでしょうけど、それだけで長続きする世界じゃありません。ミュージカルや舞台で経験を積んで、大河ドラマでも脚光を浴びるようになった。しっかりキャリアを積み重ねていることは、ほんと素晴らしいと思います。
彼女の話で印象深かったのはハーフであるということについての経験談。私たち日本人、アジア系の人間からするとエマちゃんの顔は西洋風の顔に見えるけど、欧米の人から見るとアジア人に見えると。ディスコやクラブで有色人種だからという理由で入店を断わられたり、アメリカで生活している時は差別されることがあったと言っていました。いろんな経験を積み重ねて女優として花開いた。最近の活躍ぶりを見ると感慨深いものがありますね」