1987年の騎手デビューから34年間にわたり国内外で活躍した名手・蛯名正義氏が、2022年3月に52歳の新人調教師として再スタートした。蛯名氏の週刊ポスト連載『エビショー厩舎』から、ダート王を決めるチャンピオンズカップについてお届けする。
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もともとはジャパンカップの前日に行なわれる「ジャパンカップダート」として2000年に創設されました。土日続けてGIレースがあるというのはいいなあと思ったけれど、ダートで強い外国馬はやはり11月上旬にアメリカで行なわれるブリーダーズカップに行きますね。
さらに東京の2100mで行なわれた第2回でクロフネが2分5秒9というとてつもないタイムで2着を7馬身も離して勝った。彼は前哨戦の武蔵野ステークスもマイルを1分33秒3で走っている。これらの記録は今も破られていないぐらいで、日本にはとんでもなく強い馬がいると尻込みして来なくなったのでしょう。
僕は中央のダートGIは勝っていません。重賞は129勝していますがダートは5勝だけ。中央通算では芝1428勝、ダート1113勝なので、それほど大きな差はないんですけど、ダートの重賞はあまり依頼がなかったなあ(笑)。
思えばダート重賞は関西馬が圧倒的に強かった。このレースも関東馬は3勝だけで関西馬が18勝。東京競馬場で行なわれるGIフェブラリーステークスにしても、1997年にGIになってから関東馬は5勝しかしていません。どうしてそうなったのかわかりませんが、僕も関西の厩舎からの依頼で騎乗したことが多かった。
基本イメージとして、芝がよさそうな血統なのにダートでデビューとなると、「あまり走らない馬」だと思われてしまいます。馬主さんも4歳2月のフェブラリーステークスを勝つための馬を買ったりしません。
しかし、来年デビューする2歳馬からは、ダートに適性があると判断すれば「大井の東京ダービーを目指す」という選択肢ができました。僕も今年のセリではそちら向きの血統の馬を買っていただいています。そうすれば、このチャンピオンズカップはダートを主戦場とする古馬と三冠レースを闘ってきた3歳馬の激突になって、盛り上がっていくかもしれません。
芝向きかダート向きかというのは爪の形などもありますが、実際は走らせてみないと分からない。ずっと芝を走らせていたのに「ジョッキーの進言でダートを走らせてみる」ということがありますよね。あれは例えば芝のレースを走ってしっくりこなかったけれど、レース後にダートコースをキャンターで戻ってきた時に、何かいいじゃないか、と思ったりするわけです。