「サッカー好きのタレント」とは一線を画す存在として、日向坂46の影山優佳(21歳)が注目を集めている。豊富な知識や分析力などでサッカー関係者やサッカーファンを唸らせている。その魅力についてコラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。
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日本代表の奮闘で盛り上がるサッカーワールドカップカタール大会で、「最も株を上げた」と言われているのが日向坂46の影山優佳さん。現在までテレビ朝日が放送した8試合中5試合の中継と『デイリーハイライト』の6日間中5日間に出演したほか、ABEMAも合わせると20試合の出演予定があるなど大活躍しています。
さらに影山さんは、見どころ紹介の“影メモ”や「推し選手」などのコーナーを任されているほか、サッカー解説者が不在のときは分析役を担い、26日夜の「日本サッカー生討論」では名波浩さん、田中マルクス闘莉王さんと対等なポジションで、理想フォーメーション、注目選手、スコア予想などを発表していました。また、2日朝の日本代表VSスペイン代表では2―1のスコアを的中させたことが称賛を集めています。
ナビゲーターの川平慈英さんから「日向坂46のフットボールアイドル、いやジャーナリストと言っていいでしょう」などと紹介されているように、“解説者枠”のような扱いを受けていることに驚いた人も多かったのではないでしょうか。この間、サッカー好きタレントとしておなじみの矢部浩之さんは「サッカー好きのタレント」というポジションでコメントしていたことから、すでに影山さんが一線を画す存在であることがうかがえます。
もともとサッカー番組とタレントの相性は良いとは言えず、特にアイドルはサッカーフリークから「いらない」などと厳しい声を浴びせられるケースが続いていました。なぜ影山さんは厳しいサッカーフリークたちの心をつかんでいるのでしょうか。さらに、なぜ放送、配信、出版などのメディア各社から引っ張りダコの状態なのでしょうか。
自分アピールをしない稀有なアイドル
まず評価のベースにあるのは、影山さんの豊富な知識と愛情の深さが「認めざるを得ない」ほどのレベルにあること。
北澤豪さんや内田篤人さんら歴代日本代表メンバーの「自分より詳しい」という絶賛、「1日1試合ペース」という観戦数、中学2年生のときにサッカー4級審判員を取得、趣味が「戦術分析」でキャッチフレーズが「あなたのハートにゲーゲンプレス」であることなど、サッカーフリークたちが「かなわない」「面白い」と思わせるものがあります。
そして特筆すべきは、豊富な知識や的確な分析だけでなく、視聴者が知りたいことや聞きやすさを汲み取る洞察力があること。今回の出演でも、試合後にコメントを求められた影山さんは感想を語るのではなく、レジェンド解説者たちに質問しはじめるシーンが何度もありました。視聴者が同じような内容を聞くとしても、「誰の口から聞いたほうが説得力や納得感があるのか」を考えている様子がうかがえるのです。
サッカー界のレジェンドたちにすら負けない知識や愛情を持ちながら、選手や関係者へのリスペクトを決して忘れず、前へ出て自分のアピールはしない。そんな影山さんのわきまえた姿勢がサッカーフリークたちに届いていることも、「認めざるを得ない」理由の1つでしょう。
また、影山さんがいることで、浅い知識のタレントが出なくなったことも、サッカーフリークの受けがいい理由のようです。これまでサッカー番組では、男女を問わずタレントに「画面の華」としての役割を担わせる傾向がありましたが、影山さんの台頭以降は特に「サッカー好きの女性タレント」の出演がほとんど見られなくなりました。
「現役アイドルとしてのかわいさが、あくまで付加価値に過ぎないこと」がサッカー番組における影山さんの強み。彼女はこれまで何度も出演していた『FOOT×BRAIN』(テレビ東京系)のほか、今年5月から『FIFAワールドカップ64』(テレビ朝日系)のMCを務めるなど、サッカータレントのトップへの道を歩みはじめていました。それでいてまだ21歳の若さがあるだけに、その立場は早くも盤石という感が漂っているのです。