和牛の“妊娠”はほぼ人工授精
競走馬のサラブレッドは交尾でしか繁殖が許されていないが、和牛の種つけはほぼ100%人工授精で行われる。
「雄牛の精液を採取し、特殊な容器に小分けして液体窒素(−196℃)で凍結保存します。3週間に1度の雌牛の発情に合わせて人工授精師が移植するのです。1回の精液採取で100〜200頭の雌牛に人工授精が可能。種牛1頭が年間2万頭近い子牛の出産にかかわることもあります」。
生まれた雄牛はほとんどが去勢されている
食用として流通する和牛には雄牛と雌牛があるが、「雌牛」は出産を経験していない牛をいい、出産後の牛は「経産牛」と呼ばれる。一方、「雄牛」は生後約4か月で睾丸を切除した「去勢牛」となる。
「去勢によって肉質が柔らかくなり、サシが入りやすくなるなど去勢による変化は大きく、牛の性質も穏やかになるんです」
銘柄牛の中には雌牛だけに限定しているものもあるが、ぜひその差を食べ比べてみては。
取材・文/土屋秀太郎 撮影/小倉雄一郎(本誌)
※女性セブン2022年12月15日号