胆汁の通り道の胆管に結石ができ、激痛を生じるのが胆管結石だ。また胆汁の鬱滞により胆管炎が発症し、命の危険に陥るケースもある。通常は内視鏡で結石を除去する。しかし、結石が大きい、胆管全体に結石が積みあがっているなどの難治性結石の場合、内視鏡に胆道鏡を組み合わせ、衝撃波で結石を破砕する治療が有用となる。合併症が心配な高齢者でも実施可能だ。
日本人の5~10%は胆石を持っていると推測されるが、大半は症状がない。一方、胆管結石の患者は胆石ほど多くないが、直径7ミリほどの細い胆管に結石ができると出口に詰まり激痛を生じさせる。他に胆汁の鬱滞による急性胆管炎を発症して発熱や黄疸、ショック症状を起こすことも。
胆管結石は大きく分けて2種類ある。胆のう内の胆石が胆管に転がり落ちるコレステロール結石は中年の女性に多く発症し、高齢者に多いのがビリルビンカルシウム結石だ。これは加齢で十二指腸から胆管に腸内細菌が逆流しやすくなり、胆汁の成分と反応して結石となる。石が大きくなると脇から胆汁が流れ、結果的に胆管も膨らみ、2センチほどになることもある。その膨らんだ胆管に胆汁が溜まり、新たな石ができるという悪循環に陥ったりもする。このビリルビンカルシウム結石は泥の塊みたいで比較的脆い。
慶応義塾大学病院消化器内科の岩崎栄典専任講師に話を聞いた。
「70歳以上にビリルビンカルシウム結石が多く見られるようになりました。大きい胆管結石治療には内視鏡を用いて十二指腸側から胆道に処置具を挿入し、結石をバスケットリングのような器具で包み込むように破砕して取り出す破砕術を行ないます」
ほとんどの胆管結石は、この機械的結石破砕術で治療が可能だ。ただし、結石が30ミリを超えるものや肝臓に近い部分に生じた大きな結石、あるいは複数の結石が胆管に詰まっている症例では難しい。これら難治性胆管結石には経口胆道鏡下電気水圧衝撃波結石破砕術が実施されている。
この粉砕術は通常の胃の内視鏡検査の要領で内視鏡を十二指腸から入れ、まずは胆管の出口をバルーンで広げる。次に内視鏡の内側を通して特殊な細い胆道鏡を胆管の結石付近まで入れて治療を行なう。