バブル時代に大ヒットした映画『マルサの女』の公開からまもなく36年。国税庁の脱税逃れ、所得隠しの調査先は、スマホ上のアプリがターゲットになる時代になってきた。
国税庁は11月24日、今年6月までの1年間(令和3事務年度)に実施した所得税などの調査結果を発表した。前年度は新型コロナウイルス禍で控えていた対面調査を再開できたことで、申告漏れ所得総額は前年度比29.1%増の約7202億円、追徴課税額も同44.5%増の約1058億円と、ともに大幅に上回った。
中でも注目されたのは、マッチングアプリを使って知り合った富裕層男性とのデート、通称「ギャラ飲み」で得た所得約4000万円を隠して、所得税を申告しなかった女性に対して、加算税を含む約1100万円を追徴課税した一件だった。
ある全国紙社会部記者は「コロナ禍で脱税数が増えた中でも、特に富裕層の申告漏れはひどく、所得総額は約839億円と前年度比72%も増えました。1件当たりの申告漏れ平均金額は3767万円。ネットを駆使したビジネスの多様化で、収益構造もより複雑化したからでしょう」と話す。
『マルサの女』の劇中では、調査先はパチンコ店やスーパー、客が領収書をもらいにくいラブホテルなどが対象だった。それが今では、スマホの出会い系アプリまで調べなければならない。たしかに多様化してきている。芸能関係者が語る。
「国税庁はアプリなどの調査も強化したとのことですが、それでも氷山の一角。コロナ禍でキャバクラやガールズバーの営業が厳しくなり、お金が欲しい若い女性たちの間でも、個人営業の“パパ活”が増えています。マッチングアプリだけじゃなくて、今年暴露系YouTuberとして話題になったような斡旋する者を介したギャラ飲みも多くて、全体像は誰にも把握できなくなっています。
ある元国民的アイドルの卒業生は、“現地で買い物し放題”プラス200万円でハワイへの同伴旅行をしていました。また別のグラビアアイドルは、IT系若手社長に『エステに連れて行って』とねだって、羽田-ソウル間をチャーター機で旅していました。ルックスや知名度が良ければ、浮世離れした条件でも成立しちゃうのが現実です」
そんな豪勢な遊びをするのは、近年好調なゲーム会社などのIT系、そして好況な不動産経営者だという。ここで成り立つ「ギャラ飲み」は、国税業界の隠語で言う「B勘」の典型だ。いわゆる、表に出ない、出せない勘定や取引。すなわち、領収書が不要な金の流れで、女性たちにとっては税逃れができる“おいしいアルバイト”だという。
「西麻布などの東京の港区界隈では、普通の女子大生やホステスに交じって、大勢のタレントたちも荒稼ぎをしているのが実態。中には『納税の義務』を自覚していない子もいっぱいです」(前出・芸能関係者)