2022ワールドカップ(W杯)カタール大会で、世界の強豪国とも渡り合えることを証明した日本代表。日本サッカー協会は「2050年にW杯優勝」を目標に掲げているが、むしろ4年後のW杯米国・カナダ・メキシコ大会こそ日本が優勝しやすい様々な要因が重なることが見えてきた。
これまでのW杯は強豪揃いの南米勢とヨーロッパ勢が高い“壁”となっていたが、今大会は“番狂わせ”が相次いだ。
過去4回優勝のドイツ、2回のウルグアイ、前回3位のベルギーは1次リーグで敗退した。代わりに台頭したのがアジア勢だ。1次リーグではサウジアラビアが優勝候補のアルゼンチンを破り、韓国もポルトガルを撃破。日本、韓国、オーストラリアが決勝トーナメントに進んだ。アジア3か国が1次リーグを突破したのは、史上初だった。
アフリカ勢も奮闘し、カメルーンが優勝候補の大本命であるブラジルを下すと、モロッコは1次リーグを1位通過し、決勝トーナメントではスペインを破った。
こうした勢力図の変化は日本の大躍進に現実味を持たせる。サッカージャーナリストの財徳健治氏が語る。
「FIFAランキング3位のアルゼンチンが51位のサウジアラビアに負けたことが象徴的ですが、今やランキングの差と試合結果が必ずしも一致しなくなった。今大会で、トップ10以内のチームを倒すことは不可能ではないことが証明されたわけです」
現在のFIFAランキング上位は、1位ブラジル、2位ベルギー、3位アルゼンチンと、やはり南米とヨーロッパ勢が占める。この牙城を崩すのは容易ではないことは事実だ。だが上位国が4年後も盤石であるかどうかは不透明だという。スポーツ紙記者が語る。
「1次リーグで敗退したベルギーは30歳以上のベテランが多く、チーム内の不和が報じられており、後を引く可能性があります。アルゼンチンは長くチームを牽引したメッシ(35)が代表引退を示唆しており、その穴は大きい。日本に勝利したクロアチアも不動のエースだったモドリッチ(37)の引退が濃厚で、チームの再生に時間がかかりそうです」
“相手の戦術に柔軟に対応する”森保流サッカーにさらに磨きがかかれば、付け入る隙もありそうだ。