激動の2022年が幕を閉じようとしている。思い返せば今年は政財界や芸能界で多くの著名人がこの世を去った。愛して止まないあなたへ。鳩山由紀夫元首相が稲盛和夫さん(8月24日没、享年90)へ“最後の手紙”をしたためた。
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稲盛和夫さん、私は心からあなたを尊敬申し上げておりました。そのような人は日本中に、否、世界中に数えきれないほどおりますが、私もその一人です。
遂に天に召されたことはとても寂しい限りですが、あなたの遺された精神は多くの人々の心の中に生き続けています。
民主党政権が誕生する前、私は小沢一郎先生らと幾度となく京都などにお邪魔して、あなたに政治家としていかに生きるべきか、教えを請うて参りました。
とくに長期間にわたって一党支配が続いてきたことが、官僚支配で無駄の多い事業を生み、財政赤字を膨らませてきたので、政権交代が必要なのだと、あなたは民主党政権の誕生を積極的に応援してくださいました。辛抱強いご支援のお陰で政権交代を実現することができましたことに、改めて感謝を申し上げます。
今ではそれでも物足りないくらいなのですが、私が国連演説で、当時の産業界が大変に反発するような地球温暖化ガス排出量削減の目標を掲げた際にも、あなたは無理だと諦めるのではなく、日本の産業界が世界をリードするくらいの気概で前向きに考えるべきだと支援してくださいました。また、民主党のマニフェストに掲げた政策、例えば子ども手当や高校授業料の無償化、高速道路の無料化なども評価してくださり、ありがとうございました。
残念ながら政権交代の意義を十分に果たせず、あなたの期待に十分に応えられなかったことをお詫び申し上げなければなりません。
利他の心を持つこと
私が最も感謝申し上げなければならないことは、日本航空の再建を見事に果たされたことです。
あなたは前原誠司・国土交通大臣の強い要請を受けて、2010年1月、戦後最大の負債を抱えて会社更生法を申請し、事実上倒産した日本航空の会長に就任してくださいました。周囲からの強い反対がありながら、日本経済への悪影響を防がなければならないし、国民の利便性を守らなければならないし、さらに社員の雇用を守らなければならないとの大義の下、大役を引き受けてくださった。そして、あなたの経営理念を徹底させて、1年で日本航空を航空業界の中で最も高収益の会社に生まれ変わらせたのです。