国内

【稲盛和夫さんへ最後の手紙】鳩山由紀夫氏「政権交代の意義を果たせなかったことをお詫びしたい」

鳩山由紀夫元首相が稲盛和夫さんへ最後の手紙(時事通信フォト)

鳩山由紀夫元首相が稲盛和夫さんへ、手紙(時事通信フォト)

 激動の2022年が幕を閉じようとしている。思い返せば今年は政財界や芸能界で多くの著名人がこの世を去った。愛して止まないあなたへ。鳩山由紀夫元首相が稲盛和夫さん(8月24日没、享年90)へ“最後の手紙”をしたためた。

 * * *
 稲盛和夫さん、私は心からあなたを尊敬申し上げておりました。そのような人は日本中に、否、世界中に数えきれないほどおりますが、私もその一人です。

 遂に天に召されたことはとても寂しい限りですが、あなたの遺された精神は多くの人々の心の中に生き続けています。

 民主党政権が誕生する前、私は小沢一郎先生らと幾度となく京都などにお邪魔して、あなたに政治家としていかに生きるべきか、教えを請うて参りました。

 とくに長期間にわたって一党支配が続いてきたことが、官僚支配で無駄の多い事業を生み、財政赤字を膨らませてきたので、政権交代が必要なのだと、あなたは民主党政権の誕生を積極的に応援してくださいました。辛抱強いご支援のお陰で政権交代を実現することができましたことに、改めて感謝を申し上げます。

 今ではそれでも物足りないくらいなのですが、私が国連演説で、当時の産業界が大変に反発するような地球温暖化ガス排出量削減の目標を掲げた際にも、あなたは無理だと諦めるのではなく、日本の産業界が世界をリードするくらいの気概で前向きに考えるべきだと支援してくださいました。また、民主党のマニフェストに掲げた政策、例えば子ども手当や高校授業料の無償化、高速道路の無料化なども評価してくださり、ありがとうございました。

 残念ながら政権交代の意義を十分に果たせず、あなたの期待に十分に応えられなかったことをお詫び申し上げなければなりません。

利他の心を持つこと

 私が最も感謝申し上げなければならないことは、日本航空の再建を見事に果たされたことです。

 あなたは前原誠司・国土交通大臣の強い要請を受けて、2010年1月、戦後最大の負債を抱えて会社更生法を申請し、事実上倒産した日本航空の会長に就任してくださいました。周囲からの強い反対がありながら、日本経済への悪影響を防がなければならないし、国民の利便性を守らなければならないし、さらに社員の雇用を守らなければならないとの大義の下、大役を引き受けてくださった。そして、あなたの経営理念を徹底させて、1年で日本航空を航空業界の中で最も高収益の会社に生まれ変わらせたのです。

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平が帰宅直後にSNS投稿》真美子さんが「ゆったりニットの部屋着」に込めた“こだわり”と、義母のサポートを受ける“三世代子育て”の居心地
NEWSポストセブン
現場には規制線がはられ、物々しい雰囲気だった
《中野区・刃物切りつけ》「ウワーーーーー!!」「殺される、許して!」“ヒゲ面の上裸男”が女性に馬乗りで……近隣住民が目撃した“恐怖の一幕”
NEWSポストセブン
シンガポールの元人気俳優が性被害を与えたとして逮捕された(Instagram/画像はイメージです)
避妊具拒否、ビール持参で、体調不良の15歳少女を襲った…シンガポール元トップ俳優(35)に実刑判決、母親は「初めての相手は、本当に彼女を愛してくれる人であるべきだった」
NEWSポストセブン
「ミスタープロ野球」として広く国民に親しまれた長嶋茂雄さん(時事通信フォト)
《“ミスター”長嶋茂雄さん逝去》次女・三奈が小走りで…看病で見せていた“父娘の絆”「楽しそうにしている父を見るのが私はすごくうれしくて」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ犯から殺人犯に》「生きてたら、こっちの主張もせんと」八田與一容疑者の祖父が明かしていた”事件当日の様子”「コロナ後遺症でうまく動けず…」
NEWSポストセブン
「グラディアトル法律事務所」の代表弁護士・若林翔氏
【改正風営法、施行へ】ホストクラブ、キャバクラなどナイトビジネス経営者に衝撃 新宿に拠点を持つ「歌舞伎町弁護士」が「風俗営業」のポイントを解説
NEWSポストセブン
中居正広氏の兄が複雑な胸の内を明かした
「本人にとって大事な時期だから…」中居正広氏の実兄が明かした“愛する弟との現在のやりとり”《フジテレビ問題で反撃》
NEWSポストセブン
長嶋茂雄・巨人軍終身名誉監督からのメッセージ(時事通信フォト)
《長嶋茂雄さんが89歳で逝去》20年に及んだ壮絶リハビリ生活、亡き妻との出会いの場で聖火ランナーを務め「最高の人生」に
NEWSポストセブン
中居正広氏の兄が複雑な胸の内を明かした
「兄として、あれが本当にあったことだとは思えない」中居正広氏の“捨て身の反撃”に実兄が抱く「想い」と、“雲隠れ状態”の中居氏を繋ぐ「家族の絆」
NEWSポストセブン
今年3月、日本支社を設立していたカニエ・ウェスト(時事通信フォト)
《カニエ・ウェストが日本支社を設立していた》妻の“ほぼ丸出し”スペイン観光に地元住人が恐怖…来日時に“ギリギリ”を攻める可能性
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
《子どもの性別は明かさず》小室眞子さんの第一子出産に宮内庁は“類例を見ない発表”、守谷絢子さんとの差は 辛酸なめ子氏「合意を得るためのやり取りに時間がかかったのでは」
NEWSポストセブン
現在、闘病中の西川史子(写真は2009年)
《「ありがとう」を最後に途絶えたLINE》脳出血でリハビリ中の西川史子、クリニックの同僚が明かした当時の様子「以前のような感じでは…」前を向く静かな暮らし
NEWSポストセブン