「日本プロ野球名球会」は12月9日、沖縄で今年の総会を開き、「火の玉ストレート」を武器に守護神として阪神などで活躍した藤川球児氏、元巨人のエースでMLBのレッドソックスでは胴上げ投手となった上原浩治氏の2人の“特例”での入会が決まった。40年以上の歴史がある名球会の入会資格をどう考えるかは、プロ野球界のレジェンドたちが様々な議論を戦わせている経緯がある。
名球会の参加資格は昭和以降生まれのプロ野球選手、OBで投手なら200勝、あるいは250セーブ、打者なら2000本安打以上(いずれも日米通算)。「社会の恵まれない方々への還元と日本プロ野球界の底辺拡大に寄与する」ことを目的に、チャリティイベントや野球教室などを開催してきた。
1978年7月24日にメンバー18人(投手8人、打者10人)で創設され、現在の会員は投手15人、打者48人、名誉会員の物故者12人を含めた75人となっている。
入会条件には変遷があり、投手の分業制が進んだことで2003年に「250セーブ以上」「日米通算」が加わった。2019年の総会では「理事会推薦と会員4分の3以上の承認」で入会できる特別枠が創設され、藤川氏と上原氏が今年の総会で初めての適用例となった。
藤川氏は「日米通算61勝164ホールド245セーブ」が250セーブに相当するとして理事会から推薦され、上原氏は「日米通算134勝104ホールド128セーブ」と日本人選手で初の“トリプル100”を達成したことが認められたかたちだ。名球会メンバーのひとりはこう話す。
「事前に賛成・反対の投票用紙が送られており、2割の反対票があったという。総会は王(貞治)さんはじめ、張本(勲)さん、小山(正明)さん、江夏(豊)さんなど御意見番が揃って欠席だった。それでもなお“明確な数字が決まっていないとエコヒイキになる”などの意見も出たが、すでに事前投票の賛成多数で決定していた。総会が行なわれたホテルには藤川が呼ばれており、総会後には古田(敦也)新理事長からブレザーが贈呈されていた」
こうした入会条件の“緩和”の背景には、2000年以降に打者が30人入会しているのに対し、投手が7人(200勝4人、250セーブ3人)と偏りが生じているという事情がある。特別枠は“投手救済”の意味合いが強く、今後は3000投球回数や100勝&100セーブといった記録も対象になるとみられている。