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軍港都市・横須賀の老舗角打ち 店裏の扉を開けた先にあるパラダイス

 海上自衛隊や米軍基地のある軍港都市として知られる神奈川の横須賀。この地で70年超の歴史を誇るのが『柏木商店』だ。

 京浜急行・汐入駅からすぐ。「酒」と大きく書かれた看板が目印のビルの1階に店を構えているのだが、入口から角打ちスペースは見えない。

「建物の裏手にひっそり入口があるんだよ。最初はおっかなびっくり、ドアを開けてみたらパラダイスだった! ここで知り合ったお客さんはみんな愉快な仲間だね」(70代)

「明るくて楽しい人!」と客らに慕われる店主の秋元美智子さんが、笑顔で迎えてくれる細長い空間で、客らが陽気に語らっている。

神棚が見下ろす細長い空間で「年齢は秘密よ」と笑う優しい店主(写真左)と乾杯!

神棚が見下ろす細長い空間で「年齢は秘密よ」と笑う優しい店主(写真左)と乾杯!

「艦艇勤務帰りの艦長と隣り合わせることもある。『今度の航海はどうだった?』なんつってさ。海上で働く人たちとの会話も楽しいよ」(70代、建築家)

「ベース(米海軍横須賀基地)で働く常連客も多いよ。私は、散歩帰りに寄るようになって、10年くらいは通っているかな。店主も客も感じがいいから、ついつい飲み過ぎる(笑い)。」(70代)

「俺は角打ち発祥の地といわれている九州出身だから知っているんだけど、この店は、乾き物をつまみにさっと飲む本場の流儀を踏襲しているよね。まあ、なんだかんだ言って、みっちゃん(店主)が優しいからこうして飽きずに通っているんだけどね(笑い)」(60代、ベース勤務)

「みっちゃんは、客の名前をほとんど記憶しているんだよ。久しぶりに来ても名前で呼んでくれるのが嬉しいね。ここは仕事が終わってから家に帰るまでのワンクッション、ホッとする場所だね」(60代、不動産業)

常連客に「みっちゃん」と慕われる店主の秋元美智子さん

常連客に「みっちゃん」と慕われる店主の秋元美智子さん

「海上での仕事は日帰りもあれば、数か月単位のときもありますから、世の中から隔絶される感じがして、巷の雑踏が恋しくなることもあります。ここは地元の人たちと交流ができていいですよね。海上での長い勤務明けにこの店に来て一息、幸せな時間です」(50代)

「昔から懇意にしてくださる海上自衛隊関係の人たちをはじめ、地元の人もうちに通ってくださるお客さまたちはみなさんジェントルマンばかり。気持ちが綺麗で温かい人たちが多いんですよ」と店主。

「みっちゃんはこう見えて3人の娘さんを育てていて、お孫さんもいるんだよ。近所に住んでいる娘さんが孫をつれてひょっこり店に顔を出すときもあるし、家族的な雰囲気で、ほのぼのと飲めるのがいいよね」(70代)

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