2023年3月、世界一を決める野球の祭典「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」が開幕する。メジャー組が続々とWBC出場を表明しているが、短期決戦で悩ましいのが選手選考と起用法。WBCのV戦士である里崎智也氏(46)、岩村明憲氏(43)、投手コーチだった山田久志氏(74)に話を聞いた。彼らが考える「最強のオーダー」とは。
「無失策」か「HR」か
意見が割れたのが、栗山監督もポイントに挙げていた「センターライン」の選手。守備機会が多く連携を必要とするポジションだけに選考が難しい。
まずは「扇の要」とも形容されるキャッチャー。強肩のソフトバンク・甲斐拓也(30)か、オリックスへの移籍が決まった強打の森友哉(27)かで意見が割れた。捕手出身の里崎氏は、自身の経験から甲斐を選んだ。
「僕は良いキャッチャーというのは“感性”が鋭い人だと思っています。特に国際試合はデータも少なく予想外のことが起こるので、その場で何を感じるかというのが大事になる。甲斐にはその感性があるように見える」
二遊間も打撃と守備力で候補が分かれる。セカンドは広島の菊池涼介(32)かヤクルトの山田哲人(30)。山田・岩村両氏は打撃に優れる山田哲人を選んだが、里崎氏は菊池を推す。
「菊池を2番に据えましたが、これが山田でも正解だと思う。ただ、ディフェンス面で失点をしたくないという意味では菊池が上、あとは打つほうでも小技とパンチ力を兼ね備えていますからね」
ショートは巨人の坂本勇人(34)と西武・源田壮亮(29)で割れた。山田氏は国際大会ならではの難しさがこの“ポジション重複”にあると言う。
「こういう大会ではメンバーが限られるので内野ならどこでも守れるようなユーティリティプレイヤーを選ばないといけない。2009年は片岡易之(現・治大)や川崎宗則がいました。今回でいえば西武の外崎修汰(29)のような選手が必要になるでしょうね」