今オフは阪神、広島、西武、ロッテの4球団で監督が代わった。V奪回に向けて各球団が変革に動く中、野球のスタイルが大きく変わろうとしているのが、阪神だ。
15年ぶりに復帰した岡田彰布監督は、主力選手を1つのポジションで固定することを明言。クリーンアップを担う大山悠輔を一塁、佐藤輝明を三塁で起用する見込みだ。なかでも注目を集めるのが、正遊撃手だった中野拓夢の二塁コンバートだろう。今年11月に初選出された侍ジャパンでも遊撃で選出されていることから驚きの声が上がったが、スポーツ紙デスクは違った見方を示す。
「中野はアマチュア時代も二塁での評価が高かった。俊足で守備範囲は広いが、肩が強くないので遊撃は厳しい。本拠地の甲子園は土のグラウンドなので踏ん張って地肩が強くないと内野安打になってしまう。今後の野球人生を考えた時、二塁のほうが輝けると思います。岡田監督は二遊間の守備力を重視している。遊撃は小幡竜平、木浪聖也の争いになる。多少打てなくても、守備をきっちりこなせば我慢強く起用し続けると思います」
今季のチーム失策数は5年連続リーグワーストの86。投手力はリーグトップクラスの布陣だが、拙守で足を引っ張るケースが目立った。中野はリーグワーストの18失策。二塁のレギュラーが固定できないことも影響し、二遊間の呼吸が合わずに併殺を取れない場面が見られた。二遊間が守備力重視の布陣になることは、投手陣もありがたいだろう。守り勝つ野球が岡田阪神のコンセプトになる。
今季、開幕戦で二塁を守ったのは糸原健斗。小幡、木浪、熊谷敬宥、山本泰寛らと正二塁手を競い、糸原はチーム最多の54試合でスタメン出場した。小幡、木浪は遊撃手争いを繰り広げるが、ここに中野、そして日ハムからトレードで獲得した渡邉諒が加わることになる。渡邉は2019~2021年に正二塁手として活躍し、「直球破壊王子」という愛称で親しまれたように、阪神には少ない直球への対応力の強さが大きな武器だ。まだ26歳と若く、課題の二塁の守備も鍛え直せば向上の余地がある。レギュラー争いを繰り広げる能力は十分に兼ね備えている。