増税まっしぐらの岸田文雄・首相には、自民党内からも不平不満が噴出。頑な首相に、反乱の火の手が至る所から上がろうとしている。高市早苗・経済安全保障担当相は「賃上げマインドを冷やす発言を、このタイミングで発信された総理の真意が理解できません」とツイッターに投稿、記者会見で「罷免をされるということであれば、それはそれで仕方がないという思いで申し上げております」と言ってのけた。
岸田首相にとって最後の頼みの綱は後見人の麻生太郎・副総裁しかいない。ご隠居のはずの麻生氏は、防衛費増額や財源をめぐる与党協議では茂木敏充・幹事長を押しのけて最高責任者に就任し、公明党との交渉の最前線に立って張り切っている。
一見、首相を支える気満々のように見えるが、その麻生氏まで首相再登板に向けた体力づくりをしているというから穏やかではない。政治評論家の有馬晴海が語る。
「岸田首相が危うくなっている状況で、麻生氏も『オレだって』という意欲が高まっているようです。与党協議の責任者を引き受けたのも、“岸田がコケれば茂木ではなくオレのほうが”という考えがあるのでしょう。いま82歳ですが、いつ総理になってもいいように毎日腹筋を鍛えて体力づくりをしていると聞いています。
自民党の議員たちの間には、岸田政権の体たらくから、『安倍政権の頃は良かった』という意識が強まっており、安倍政権を支えた麻生氏や菅義偉氏の再登板を期待するムードがある。麻生氏はそうした声に乗る形で再登板のチャンスはあると高揚しているように見えます」
岸田首相は政敵だけではなく、自分の内閣の閣僚からも、政権を支える幹事長からも、後見人の副総裁からも、クビを狙われている。げに政治家の権力欲はすさまじく、一方、堕ちた権力者の末路は哀れだ。
年が明ければ、いよいよ「首相の座」をめぐる政界新春の陣が本格化する。岸田首相のクビを挙げるのは、果たしてこの中の誰なのか。
自民党大乱の行方は増税の帰趨に直結するだけに国民は目を離せない。
※週刊ポスト2023年1月1・6日号