国内

【歌舞伎町の1億円稼ぐカリスマホストの告白・後編】「ゼクシィ男」と呼ばれるほど“結婚営業”で成功したホストが電撃解雇されるまで

「ゼクシィ男」として歌舞伎町にその名を轟かせた

「ゼクシィ男」として歌舞伎町にその名を轟かせた

 未経験からのスタートながら2年という短い期間で億を売り上げる「1億円プレーヤー」となったタイキ氏。元甲子園球児、そして前職はカンボジアでの地雷の撤去という異色すぎる経歴を持つ彼は“地雷原”から“歌舞伎町”という“夜の戦場”へとステージを移し、瞬く間に頭角を現していく。入店一年目には年間7000万円を売り上げ、グループの「新人王」を獲得した。前編に続き、歌舞伎町の住人たちを取材した著書『ホス狂い~歌舞伎町ネバーランドで女たちは今日も踊る~』を持つノンフィクションライターの宇都宮直子氏がレポートする。

* * *

「一番やってくれているエースの女性がいるんですが、新人王を獲得した後あたりに彼女から初指名が入った。さらにその2か月後くらいに、その女性の次に使ってくれる40歳くらいの方の指名も入るようになった。結局、入店から半年くらいで4人の高額を使ってくれるお客さんがついてくれました」(タイキ氏・以下同)

「太客」を次々と掴み、入店半年にして3000万円以上、そして一年で7000万円という驚異的なスピードで売り上げを立てていったタイキ氏。月の売上げが10万円に満たないキャストが4割といわれるホスト業界において、異色の新人といえるだろう。だが、彼の前に立ちはだかったのが「億の壁」だったという。

「7000万円を売り上げて、1億円はかんたんに届くと思ったら、どうしても億にいかなかったんです。『壁』『壁』『壁』……。これまでの人生で『壁』ってあんまり感じたことはなかったんですけど、『1億』には壁を感じた」

 タイキ氏はサラッと口にするが、年商「億」といえば、通常の勤め人ではまずありえない、プロスポーツ選手であってもなかなか達成できない金額である。ましてや原価がいくらとも知れない「消えもの」に対し、自らの魅力やトークのみで「億」を売り上げるということなど、想像の余地もない。

「僕は、4人のエースの方の“頑張り”のおかげで7000万円まではいけたのですが、とにかく『あと3000万円』が難しかった。たとえば1000万円であれば、年間で見たらひと月85万円を売ればいいので、ひと月10万円ちょいの“少額”をつかうお客さんが10人くらいいれば、その積み重ねでなんとかなるんです。2000万円も3000万円もそういうところがある。

 通常のホストであれば1000万円や2000万円の売り上げを、少額を使うお客さんを中心に積み重ねていく。その後、それ以上の売り上げが立てられずに伸び悩んだときはその過程で高額のお客さんを捕み、何年かかけて上がっていくというパターンなのですが、僕の場合は逆だった。まず、4人の高額を使うお客さんたちがいたから、彼女たちを中心に支えてもらっても、ちょうど7500万円で止まっちゃう。みんなが出来ている『小さな積み重ね』ができていなかったんです。それを意識するようになったことによって、去年、2年目にして『億の壁』を超えることができたのです」

「高額の客がつくホスト」と「つかないホスト」の違い

 これまで女性側から、いかにして自分が愛する「担当ホスト」のために大金を作り店に通っているか、いかに自分が担当のことを好きかという「担当と自分」ふたりだけの物語を聞き続けてきた私にとって、この「経営計画」は驚きだった。物語を紡ぐためにお金も時間も体力も費やす女性がいる一方で、男性側は、あくまでも「ビジネス視点」があり、売り上げのためにはいくらを使う女性が何人……と逆算し、冷静に戦略を立てているのだ。

 だが札束飛び交う歌舞伎町でも「1億円プレーヤー」は一握りだ。なぜ、タイキ氏は「億」を売り上げることができたのだろうか。また「高額の客がつくホスト」と「つかないホスト」の違いはどこにあるのだろう。

「初回でついてくれるお客さんの数は、そんなに変わらない。わりとみんなに平等についていると思う。だからそのお客さんが続けてきてくれるかどうかではないでしょうか。そこはやっぱり相手からみて『遊びで終わらせる相手か、終わらせないのか』ということ。『飲み屋のにいちゃん』で終わるかどうか。『女性がそこに人生を賭けているか』どうかです。『この人が本当に人生そのものだ』ってなっているかどうか。それとも『気分よくなった。お金が入ったから飲みに行こう』というだけの相手なのか。そこに尽きると思います」

関連キーワード

関連記事

トピックス

2024年末に第一子妊娠を発表した真美子さんと大谷
《大谷翔平の遠征中に…》目撃された真美子さん「ゆったり服」「愛犬とポルシェでお出かけ」近況 有力視される産院の「超豪華サービス」
NEWSポストセブン
新政治団体「12平和党」設立。2月12日、記者会見するデヴィ夫人ら(時事通信フォト)
《デヴィ夫人が禁止を訴える犬食》保護団体代表がかつて遭遇した驚くべき体験 譲渡会に現れ犬を2頭欲しいと言った男に激怒「幸せになるんだよと送り出したのに冗談じゃない」
NEWSポストセブン
警視庁が押収した車両=9日、東京都江東区(時事通信フォト)
《”アルヴェル”が人気》盗難車のナンバープレート付け替えで整備会社の社長逮捕 違法な「ニコイチ」高級改造車を買い求める人たちの事情
NEWSポストセブン
地元の知人にもたびたび“金銭面の余裕ぶり”をみせていたという中居正広(52)
「もう人目につく仕事は無理じゃないか」中居正広氏の実兄が明かした「性暴力認定」後の生き方「これもある意味、タイミングだったんじゃないかな」
NEWSポストセブン
『傷だらけの天使』出演当時を振り返る水谷豊
【放送から50年】水谷豊が語る『傷だらけの天使』 リーゼントにこだわった理由と独特の口調「アニキ~」の原点
週刊ポスト
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
《英国史上最悪のレイプ犯の衝撃》中国人留学生容疑者の素顔と卑劣な犯行手口「アプリで自室に呼び危険な薬を酒に混ぜ…」「“性犯罪 の記念品”を所持」 
NEWSポストセブン
フジテレビの第三者委員会からヒアリングの打診があった石橋貴明
《離婚後も“石橋姓”名乗る鈴木保奈美の沈黙》セクハラ騒動の石橋貴明と“スープも冷めない距離”で生活する元夫婦の関係「何とかなるさっていう人でいたい」
NEWSポストセブン
原監督も心配する中居正広(写真は2021年)
「落ち着くことはないでしょ」中居正広氏の実兄が現在の心境を吐露「全く連絡取っていない」「そっとしておくのも優しさ」
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
〈山口組分裂抗争終結〉「体調が悪かろうが這ってでも来い」直参組長への“異例の招集状” 司忍組長を悩ます「七代目体制」
NEWSポストセブン
休養を発表した中居正広
【独自】「ありえないよ…」中居正広氏の実兄が激白した“性暴力認定”への思い「母親が電話しても連絡が返ってこない」
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(時事通信フォト)
「うなぎパイ渡せた!」悠仁さまに筑波大の学生らが“地元銘菓を渡すブーム”…実際に手渡された食品はどうなる
NEWSポストセブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された(左/時事通信フォト)
広末涼子の父親「話すことはありません…」 ふるさと・高知の地元住民からも落胆の声「朝ドラ『あんぱん』に水を差された」
NEWSポストセブン