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世界で一番馬券が売れる「有馬記念」 勝つためには実力だけでなくコース適性も重要

蛯名正義氏が「牝馬の秋」の思い出を振り返る

有馬記念は実力だけではないという

 1987年の騎手デビューから34年間にわたり国内外で活躍した名手・蛯名正義氏が、2022年3月に52歳の新人調教師として再スタートした。蛯名氏の週刊ポスト連載『エビショー厩舎』から、有馬記念についてお届けする。

 * * *
 世界で一番馬券が売れるレースです。2021年の売り上げは490億円、1990年代後半には800億円を超えていました。競馬ファンのみならず、日本人すべてが注目するレース。スポーツ紙は月曜の朝から連日一面で特集します。

 馬券ファンにしてみれば、今年はずっと調子が悪かったけれど、「有馬記念を取れば来年はいい年になるんじゃないか」という根拠のない願望(笑)。当たったら何か欲しいものを買ったり、プレゼントしたり。普段競馬なんか観ないのに、このレースだけは馬券を買うという人もいる。クリスマスの過ごし方やお年玉にも影響するのでしょう(笑)。

 ただし、世間の盛り上がりほど、競馬サークル内は騒がしくない。もちろん出走馬がいる厩舎は(コロナ禍のここ数年は別にして)報道陣の出入りも多くなって、本番が近づくにつれて慌ただしくなっていきますが、出走馬がいなければいつもの週と同じ。ホープフルステークスがGIになった2017年からは有馬記念が終わっても、まだ競馬が行なわれるようになりましたし、新年は1月5日からまた始まります。「これで最後だ!」とはいかない。

 ファン投票によって出走馬が決まるドリームレースですが、すべての活躍馬が出走するわけでもない。エルコンドルパサーは3歳でジャパンカップを勝ったので、このレースに勝つことで何が変わるのか、種牡馬として残さなければならないのに壊したら大変だというのがあった。アパパネにしても、有馬記念というイメージがまったく湧かなかった。2021年のコントレイルもジャパンカップで引退しましたし、今年もファン投票上位の馬がすべて出走するわけではないようです。

 かつてはテイエムオペラオーやゼンノロブロイが、天皇賞(秋)→ジャパンカップ→有馬記念と使って全部勝ちましたが、能力が抜けていたということなのではないでしょうか。いまは12月上旬の香港国際競走を使う馬もいるし、3つ全部使う馬は少なくなりつつあります。

 なぜなら中山の2500mは合う合わないがはっきりしているんです。実力だけではなく、コース適性がひとつのファクターになります。体調がどうだったのかはわかりませんが、古くはメジロマックイーンがダイユウサクに、ディープインパクトやメイショウサムソン、ブエナビスタ、最近ではアーモンドアイも敗れている。

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