街がクリスマスムードに包まれた12月中旬、黒いタートルネックにストール姿で、目深にキャップをかぶった吉田羊が足早に送迎車に乗り込んだ。舞台『ツダマンの世界』に出演している彼女は、やや疲れた表情だった。
デビュー25周年を迎えた2022年は、イベントが目白押しだった。9月にはビルボードライブ東京でコンサートを開催し、12月には初エッセイ本となる『ヒツジメシ』(講談社刊)を上梓。2023年1月には映画『イチケイのカラス』の公開が控えている。
いまでこそ数々の人気作品に出演する彼女だが、下積みの期間は長かった。大学卒業後は小劇場の作品を中心に出演を重ね、宣伝のためキャリーケースにチラシを詰め込んで歩き回ったこともあった。
小劇場中心の活動が10年を迎えた頃、転機がやってくる。2014年の木村拓哉(50才)主演ドラマ『HERO』(フジテレビ系)で、やり手検事役に抜擢されたのをきっかけにブレイクを果たしたのだ。翌年には映画『ビリギャル』への出演で、日本アカデミー賞の優秀助演女優賞を受賞し、2016年の年間CM起用社数はトップにランクイン。人気女優の階段を一気に駆け上がった。
「クールで凛とした役柄だけでなく、妖艶な役や虐待をする母親役も演じています。彼女なら、どんな役柄も説得力を持って演じることができるので、オファーが絶えないのです」(テレビ局関係者)
素顔に惹きつけられた関係者も多い。
「お酒が好きで、コロナ禍前は共演した女優さんやスタッフを誘って飲みに行くことも頻繁でした。食べ物ではお寿司が大好きで、寿司店でのロケの際、『私がご馳走するから、皆さんも召し上がってください』とスタッフに振る舞ったという伝説も。売れっ子女優にも関わらず、気さくな態度に現場スタッフは感激したそうです」(芸能関係者)
オープンな性格な彼女だが、デビュー当時から貫く“秘密”がある。
「いまだに年齢を公表していないんです。理由はキャスティングの際に先入観を与えたくないから。決して若く見られたいわけではなく、『60才に見えるなら、60才の役で使ってほしい』という思いからです」(前出・テレビ局関係者)
吉田以外にも、芸能界で年齢非公表を貫く人は少数ながらいる。X JAPANのYOSHIKIやアーティストのJUJUも同様に、「先入観を与えたくない」という理由で公表していない。表現者としての“プライド”のようなものなのかもしれない。