年末年始の旅の計画に余念がない人も多いだろう。コラムニストの石原壮一郎氏が考察した。
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コロナ禍が落ち着いているのかそうでもないのか、もはやよくわかりません。それはさておき、2022年の暮れは帰省を計画している人が去年よりも増えているようです。
朝日新聞社が行なった電話調査で、帰省や旅行を「計画している」と答えたのは、去年の2021年11月が18%、2022年11月が20%とやや増加。とくに30代は「計画している」が、同じ時期で26%から33%と大きく増えました。
久しぶりに親や祖父母や親戚に会うのは、楽しいいっぽうで、ウンザリする言葉が飛んでくることも。「こんなことを言われた」とプンスカしながら誰かに話しても、聞かされるほうはいい迷惑です。SNSに書き込んでうわべの共感を得たりしたところで、マイナスの感情をこじらせるだけでしょう。
不愉快なことを言われたときは、きっちり言い返しておくことが大切。といっても、いちいちケンカ腰になる必要はありません。黙って泣き寝入りするのではなく、自分なりに反撃したほうが無駄に根に持たずに済むし、相手が「こういうことは言わないほうがいいんだな」と気づく……かもしれない効果もあります。
5つの「ありがちなシチュエーション」について、親や親戚が繰り出してくる「不愉快な攻撃」を撃退するフレーズを考えてみましょう。
●その1「IT企業に勤める自分に、父親が『そろそろまともな仕事につけ』と言ってきた」
IT企業に限らず、ゲーム会社やクリエィティブ系の自由業なども、同じ目に遭いがち。もしかしたら、どうにかコミュニケーションを取ろうとした結果の不器用なアプローチという可能性もあります。ムッとして言い返したりふて腐れたりしたら、相手は「やっぱりまだまだ心配だ」と思うかもしれません。
ここは静かな口調で「まともな仕事って、たとえば?」と尋ねます。「そりゃお前、○○とか××とか」と答えたら、「たぶん、ウチの会社のほうが世の中に貢献できているから、安心して」と言ってしまいましょう。そもそも比較はできないので、「真偽」を気にする必要はありません。実際に「まともとは言えない仕事」の場合は、「ハハハ、心配してくれてありがとう」と明るくお礼を言っておくのが、少しは安心してもらえる唯一の方法です。
●その2「子どもがいない自分たち夫婦に、母親が『早く孫の顔を見せて』と言ってきた」
二人で話し合って子どものいない生活を選んでいるにせよ、何か理由があるにせよ、曖昧に笑っているだけだと、また帰省するたびに同じ攻撃を受けるでしょう。これだけさんざん「言ってはいけないセリフ」とされているのに、親の側は「子ども夫婦のためのを思って」という言い訳に甘えて、無神経な暴言を口にしてしまいます。
意を決して「本気で言われたくない」という姿勢を見せておかないと、言ってくる親は罪の重さに気づきません。夫にせよ妻にせよ「実子」の側が、配偶者のいない状況で「申し訳ないけど、孫のことを言うなら、もう二度とこの家に帰ることはできない」と宣言しましょう。なぜなのかを説明する必要はありません。それで怒り出したり、なおも言って来たりするなら、残念ながら実質的に縁を切る覚悟を決めたほうがよさそうです。