テレビ各局がさまざまな特番を投入していく年末。近年、ジワジワと増えているのが「音楽特番」と「警察特番」だ。この2つのタイプの特番が増加している背景とは? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。
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12月は各局が一年で最も特番を放送する時期。上旬から少しずつ放送がはじまり、秋ドラマが最終回を迎え、『M-1グランプリ』(ABCテレビ・テレビ朝日系)が終わり、いよいよ特番ラッシュがスタートします。
なかでも特にこの時期で目立つのは、音楽特番と警察特番の2つ。近年ジワジワと増えていましたが、今年もジワジワと増えているのです。下記にゴールデン・プライム帯で放送される特番をあげていきましょう。
まず音楽特番は、3日の『日テレ系音楽の祭典 ベストアーティスト』(日本テレビ系)、7日の『FNS歌謡祭 第1夜』(フジテレビ系)、14日の『FNS歌謡祭 第2夜』(フジテレビ系)、15日の『NHK MUSIC SPECIAL』(NHK)、17日の『明石家紅白』(NHK)、18日の『これが定番!世代別ベストソングミュージックジェネレーション』(フジテレビ系)、19日の『CDTVライブ!ライブ!クリスマス4時間SP』(TBS系)、22日の『歌唱王2022~全日本歌唱力選手権~』(日本テレビ系)、23日の『ミュージックステーション ウルトラSUPER LIVE 2022』(テレビ朝日系)、28日の『発表!今年イチバン聴いた歌 年間ミュージックアワード2022』(日本テレビ系)と『NHK MUSIC SPECIAL』(NHK)、29日の『この歌詞が刺さった!グッとフレーズ~私を支えた歌詞SP 2022~』(TBS系)、30日『第64回輝く!日本レコード大賞』(TBS系)、31日の『第55回年忘れにっぽんの歌』(テレビ東京系)と『第73回NHK紅白歌合戦』(NHK)。
NHKが4、日本テレビが3、TBSが3、フジテレビが3、テレビ朝日が1、テレビ東京が1の計15。なかでも日本テレビは『ベストアーティスト』を12年ぶりの12月放送に踏み切り、新たに『年間ミュージックアワード2022』を手がけるなど動きを見せています。
次に警察特番は、9日の『警察特捜』(日本テレビ系)、24日の『列島警察捜査網THE追跡 2022冬の事件簿』(テレビ朝日系)、26日の『最前線!密着警察24時 年末特別警戒SP』(TBS系)、29日の『激録・警察密着24時!!』(テレビ東京系)。
これまで主に年明け・春・夏の放送だった『列島警察捜査網THE追跡』が12月に移動しました。11月27日に『逮捕の瞬間!警察24時』を放送したフジテレビも含め、民放全局が年末に警察特番を放送していることがわかるでしょう。
時代の流れとメリットに各局が反応
ではなぜ12月にこれほどの多くの音楽特番と警察特番が放送され、いまだにジワジワと増えているのでしょうか。
まず音楽特番ですが、2010年代から音楽番組は「1時間のレギュラー放送では視聴率が獲れないが、季節ごとの長時間特番なら高視聴率が期待できる」と言われ、ジワジワと増えていました。
さらに一昨年の視聴率調査リニューアル以降、各局がコア層(13~49歳)に向けた番組制作に舵を切ったことで、音楽は重要ジャンルの1つとして浮上。また、「TikTokで昭和・平成の歌が若年層にブームになっている」などの理由もあり、「家族そろって見られる特番を作るのなら音楽が一番いい」という流れが生まれています。