和田:いいえ、太るのはむしろいいことです。ぼくは昨今のダイエットブームは、「現代の纏足【※】」なんじゃないかと考えています。それに、しっかり栄養を摂った方が、頭がよく回転するに決まってます。だってドイツのメルケル前首相をはじめとして、聡明な女性はみんな体格がいいじゃないですか。
【※昔の中国で女性に行われた足を布で巻いて小さくする慣習のこと】
赤川:たしかに周囲を見ても年を重ねても元気な人は肉食で食欲旺盛な人が多い。おいしいものを食べることは、人生の喜びのひとつですからね。
和田:その通り。ぼくも、好きなものを食べながらワインを飲む時間が何より幸せです。赤川さんはたしなみますか?
赤川:ぼくは全然飲めない。
和田:だから夜型生活ができるんですね。ぼくは夕食に必ずボトル半分のワインを飲むからすぐに眠くなる。食べる時間も夜10時頃だからそのまますぐに寝床に入ります。
赤川:それは朝型にならざるを得ないですね。
(第2回へ続く)
【プロフィール】
赤川次郎(あかがわ・じろう)/1948年、福岡県生まれ。1976年『幽霊列車』でオール讀物推理小説新人賞を受賞し、小説家デビュー。ユーモア・ミステリー、サスペンス、恋愛小説と幅広いジャンルで活躍し、1980年に『悪妻に捧げるレクイエム』で角川小説賞、2016年には『東京零年』で吉川英治文学賞を受賞。『三毛猫ホームズの推理』『セーラー服と機関銃』『夢から醒めた夢』など映像化・舞台化作品も多数。累計発行部数は3億3000万部を突破している。
和田秀樹(わだ・ひでき)/1960年、大阪府生まれ。精神科医。東京大学医学部卒業後、東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、現在、ルネクリニック東京院院長。高齢者専門の精神科医として、30年以上高齢者医療の現場に携わる。診療の傍ら、医療や受験など幅広いテーマで執筆を行い、著作『80歳の壁』は2022年の年間ベストセラーに。
撮影/chihiro.
※女性セブン2023年1月5・12日号