ライフ

【対談・赤川次郎氏×和田秀樹氏】不健康生活貫く2人が語る「日本の医療の最大の欠点」

赤川さんと和田さん

日本の医療の欠点について語った

 運動嫌いの外食好き、昼夜逆転生活を40年以上続ける赤川次郎さんと、医師であるにもかかわらず「医者の言うことを聞くなかれ」と発信する和田秀樹さん。年を重ねてなお、第一線で走り続ける2人の活力の源は「不健康生活」だった!? 2人が日本の医療の問題点について指摘する。【全4回の第2回。第1回から読む

 * * *
和田:好き放題に飲み食いした後すぐに寝るなんて不健康極まりないんですが、食べたいものやお酒をがまんしてまで長生きしたくない。

赤川:ぼくだって自分の生活が体にいいなんて決して思ってないですよ。だけど朝、時間を気にせずに眠れる心地よさは何ものにも代えがたい。ぼくは28才のときに新人賞をとって小説家デビューしてから『三毛猫ホームズの推理』を出すまでの2年間、夜中に執筆した後、満員電車に乗ってサラリーマンとして通勤する「二足の草鞋」生活を送ったんです。だから専業の作家になってうれしかったのは好きなだけ眠れることだった。

和田:人間には体内時計があって、朝日を浴びなければ深い睡眠がとれないという説もありますが、赤川さんはよく眠れているんですよね?

赤川:はい。年を重ねるとともに早く目が覚めて睡眠時間は短くなっていますが、眠れなくて悩んだことはないです。

和田:それはいいことですね。日本の医学の最大の欠点は、睡眠時間や生活リズムにしても、血圧や血糖値などの数値にしても、「個体差」を認めないところだと思うんです。

赤川:たしかに健康診断なんかでよく「正常値」と言われるけれど、「誰にとっての“正常”なんだろうか」と疑問に思います。

和田:おっしゃる通りです。医者の言う数値は理想主義で、低すぎる。ぼく自身も一時期、上の血圧が220mmHgあったんですけれど……。

赤川:かなり正常値からはかけ離れた数字ですね。

和田:はい(笑い)。しかも血管年齢は80代と指摘されて、心不全の一歩手前。友人の医師に「血圧を下げないと死ぬぞ」と言われ仕方なく薬で140まで下げたのですが、頭がぼんやりして仕事にならない。急いで170まで戻しました。ぼくにとってはそれが最適だとわかった。赤川さんは数値を気にされますか?

赤川:それほど気にしていないけれど、薬ものんでいるし、ここのところはずっと正常値です。ちなみに、欧米でも日本のように血圧の薬をのんでいる人は多いんですか? 以前、ドイツの友人に、向こうでは風邪をひいても病院に行かず、薬ものまずにハーブティーで治すんだと聞いて「あんなに薬を生産している国なのに」と驚いたことがあって。

和田:輸出して外国人にはのませるのに、自分たちはのまない(笑い)。たしかにここまで生活習慣病の薬が簡単に処方される国は、日本以外にはないですね。海外は、日本のように国民皆保険制度がほとんどないので、医者に薬を処方してもらうハードルが高いという理由もありますが、薬をのむよりも食事やサプリメントで体を整える人が圧倒的に多い。

赤川:言われてみれば欧米のかたは薬よりもサプリメントをのんでいる印象があります。

和田:毎年職場で集団健診をやっているのも、日本と韓国くらい。特に日本人は「病気になりたくない」という気持ちが強い故に、薬や運動などで必死に高い項目の数値をモグラ叩きのように下げる。その結果、データが正常値になったから健康になったと思い込んでいる人が多いです。

関連キーワード

関連記事

トピックス

何が彼女を変えてしまったのか(Getty Images)
【広末涼子の歯車を狂わせた“芸能界の欲”】心身ともに疲弊した早大進学騒動、本来の自分ではなかった優等生イメージ、26年連れ添った事務所との別れ…広末ひとりの問題だったのか
週刊ポスト
2023年1月に放送スタートした「ぽかぽか」(オフィシャルサイトより)
フジテレビ『ぽかぽか』人気アイドルの大阪万博ライブが「開催中止」 番組で毎日特集していたのに…“まさか”の事態に現場はショック
NEWSポストセブン
隣の新入生とお話しされる場面も(時事通信フォト)
《悠仁さま入学の直前》筑波大学長が日本とブラジルの友好増進を図る宮中晩餐会に招待されていた 「秋篠宮夫妻との会話はあったのか?」の問いに大学側が否定した事情
週刊ポスト
新調した桜色のスーツをお召しになる雅子さま(2025年4月、大阪府・大阪市。撮影/JMPA)
雅子さま、万博開会式に桜色のスーツでご出席 硫黄島日帰り訪問直後の超過密日程でもにこやかな表情、お召し物はこの日に合わせて新調 
女性セブン
NHKの牛田茉友アナウンサー(HPより)
千葉選挙区に続き…NHKから女性記者・アナ流出で上層部困惑 『日曜討論』牛田茉友アナが国民民主から参院選出馬の情報、“首都決戦”の隠し玉に
NEWSポストセブン
被害者の手柄さんの中学時代の卒業アルバム、
「『犯罪に関わっているかもしれない』と警察から電話が…」谷内寛幸容疑者(24)が起こしていた過去の“警察沙汰トラブル”【さいたま市・15歳女子高校生刺殺事件】
NEWSポストセブン
豊昇龍(撮影/JMPA)
師匠・立浪親方が語る横綱・豊昇龍「タトゥー男とどんちゃん騒ぎ」報道の真相 「相手が反社でないことは確認済み」「親しい後援者との二次会で感謝の気持ち示したのだろう」
NEWSポストセブン
「日本国際賞」の授賞式に出席された天皇皇后両陛下 (2025年4月、撮影/JMPA)
《精力的なご公務が続く》皇后雅子さまが見せられた晴れやかな笑顔 お気に入りカラーのブルーのドレスで華やかに
NEWSポストセブン
2024年末、福岡県北九州市のファストフード店で中学生2人を殺傷したとして平原政徳容疑者が逮捕された(時事通信フォト)
《「心神喪失」の可能性》ファストフード中学生2人殺傷 容疑者は“野に放たれる”のか もし不起訴でも「医療観察精度の対象、入院したら18か月が標準」 弁護士が解説する“その後”
NEWSポストセブン
大阪・関西万博が開幕し、来場者でにぎわう会場
《大阪・関西万博“炎上スポット”のリアル》大屋根リング、大行列、未完成パビリオン…来場者が明かした賛&否 3850円えきそばには「写真と違う」と不満も
NEWSポストセブン
真美子さんと大谷(AP/アフロ、日刊スポーツ/アフロ)
《大谷翔平が見せる妻への気遣い》妊娠中の真美子さんが「ロングスカート」「ゆったりパンツ」を封印して取り入れた“新ファッション”
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 高市早苗が激白「私ならトランプと……」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 高市早苗が激白「私ならトランプと……」ほか
週刊ポスト