運動嫌いの外食好き、昼夜逆転生活を40年以上続ける赤川次郎さんと、医師であるにもかかわらず「医者の言うことを聞くなかれ」と発信する和田秀樹さん。年を重ねてなお、第一線で走り続ける2人の活力の源は「不健康生活」だった!? 2人はどんなことを心がけているのか?【全4回の第3回。第1回から読む】
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和田:ぼくは普段、「老年医学の専門医」として定年を迎えた後の患者を多く診ているのですが、いつまでも元気な人の共通点は、脳の前頭葉を使っていること。前頭葉は見たり聞いたりしたことをアウトプットすること、たとえば本や雑誌を読んで自分の意見を言ったりすることで鍛えられる。だから、スポーツマンよりも赤川さんのようなクリエーティブな創作活動をしていたり、学者として研究を続けている人の方が見た目も内面も圧倒的に若いです。
赤川:たしかに会社員時代の同期はみんな白髪になったり薄毛になったりしているけど、ぼくは髪の毛も黒いまま。そういえば、老眼にもなっていません。
和田:あれだけ書いているのに、目が悪くならないのはすごい!
赤川:47才の娘も、髪の毛は真っ黒だから遺伝もあるのかもしれない。
和田:患者に話を聞いていると親と病歴や体質が似ている人は多いから、私たちが生きていくうえで遺伝的要素は避けて通れないと思います。
赤川:嫌なことをしない、ストレスをためないことも大切でしょうね。サラリーマンとの「二足の草鞋」時代、最初に新人賞をとったときはみんな「ラッキーだったね」と祝ってくれたんです。ところが、次々に本を出していくと、「本当はおれも画家になりたかったのに」とか、「あいつまだ会社にいるのか」と、周囲の目が変わってくる。
そのとき、やりたいことをがまんして勤め続ける人の気持ちを肌で感じたからこそ、好きなことを仕事にできた幸運な自分は真面目に働かなければと思いましたね。
和田:素晴らしい考え方ですね。ぼくの持論は、「年を重ねるほど自由になれる」。だから、子供を自立させた後はみんな、好きなことをやってみた方がいいと思うんです。
特にいまは、新しいことを始めるハードルが低い。たとえば何か映像作品を撮ってみたいと思ったら、昔は機材を揃えたり照明技師を雇ったり準備だけで数百万円かかったのがいまはスマホとパソコンさえあれば、ひとりで撮影から編集までできる。10万円あれば充分です。