運動嫌いの外食好き、昼夜逆転生活を40年以上続ける赤川次郎さんと、医師であるにもかかわらず「医者の言うことを聞くなかれ」と発信する和田秀樹さん。年を重ねてなお、第一線で走り続ける2人の活力の源は「不健康生活」だった!? 2人が老いることについて語り合う。【全4回の第4回。第1回から読む】
* * *
赤川:おしゃべりに限らず、いまの日本人はもっと言いたいことを言うべきだと思います。言論統制があっていつ殺されるかわからない国でも覚悟して発言する人がいる一方で、発言だけで逮捕されたり殺されたりしない日本にいるのだから。
和田:赤川さんは東京五輪への批判など、雑誌のコラムで政治や政策に対して声を上げていますよね。
赤川:莫大な予算がかかる映画や芝居の作り手と違って、作家は紙とペンさえあればひとりで発信できる。意見を言う場があって、なおかつスポンサーへの配慮も必要ない人間として声を上げるのは役目だと思っているんです。
そういえば、9月に亡くなった映画監督のジャン=リュック・ゴダールは、自ら服薬して命を絶ったと報じられましたね。かつて“若者のカリスマ”だった彼が尊厳死を選んだことに衝撃を受けました。今後、日本ではどうなるのでしょうか?
和田:海外での安楽死の理由のほとんどは「自分の痛みや苦しみから逃れたい」という100%自分の意思に基づいたものですが、日本だと認知症とか寝たきりとかで「人に迷惑をかけたくない」が第一にきてしまう。税金や介護保険をしっかり払ってきたのにもかかわらず、です。だから、認められるのはかなりハードルが高いと思います。
赤川:それは“迷惑”ではなく、当然の権利ですよね。
和田:おっしゃる通りです。そもそも年を重ねてできないことが増えるのは当たり前。認知症患者の家族はすぐに「先週までできていたことができなくなった」とマイナス面ばかり訴えますが、その人はちゃんと話が通じるし、買い物だってできる。どこに視点を置くかで幸福度が変わると思っています。
赤川:ぼくも昔に比べて集中力が落ちました。以前は机に向かったらすぐパッと書き始めることができたけれど、いまは1時間くらいグダグダと過ごしてからやっと、です。
和田:当然のことですよ。