芸能

追悼・三遊亭円楽さん 2000年の『笑点』で放っていた毒舌5選

三遊亭円楽は自身の引き際をどう考えるか(時事通信フォト)

三遊亭円楽さん(時事通信フォト)

 別れは辛いが避けられないもの。在りし日の記憶を辿る年の瀬、コラムニストの石原壮一郎氏が綴る。

 * * *
 2022年もたくさんの人が空の上に引っ越しました。宝田明さん(3月14日、87歳)、藤子不二雄Aさん(4月7日、88歳)、上島竜兵さん(5月11日、61歳)、アントニオ猪木さん(10月1日、79歳)、仲本工事さん(10月19日、81歳)ら、長いあいだ私たちを楽しませてくれた方々の訃報は、寂しさもひとしおです。

 9月30日に72歳で旅立った三遊亭円楽(六代目)さんも、そのひとり。円楽さんと言えば、国民的長寿番組『笑点』での腹黒キャラや毒舌っぷりがおなじみでした。追悼の意を込めて、20世紀最後の年の2000(平成12)年に放送された『笑点』から、5つの印象的な毒舌をご紹介しましょう。当時の三遊亭楽太郎さんは50歳という円熟の時期。番組の司会は師匠である先代三遊亭圓楽さんでした。

●横山ノック元大阪府知事のセクハラ事件を皮肉る(2000年7月16日放送回)

(問題)7月16日は「駅弁記念日」。新しい駅弁を考えて、懐かしい売り声で売ってください。私が「どんな弁当なの?」と聞きますから、ひと言。

「ベントベントー、大阪名物セクハラ弁当」
「どんな弁当なの?」
「おかずはタコが主役です」

(補足)時事問題をネタにした毒舌は、円楽さんの得意技のひとつ。当時、大阪府知事だったお笑い芸人の横山ノック氏が、選挙運動中に運動員の女子大学生にセクハラ行為を行ったことが明らかになり、大きな批判を集めていた(民事、刑事とも有罪)。横山ノック氏は、その外見から「タコ」とも呼ばれていた。

●IOC会長という役職の“正体”を見抜いていた!?(2000年9月17日放送回)

(問題)シドニーオリンピックが開幕しました。クイズを出題してください。私は「イエス」としか言えません。「イエス」と答えたら、ひと言。

「それでは問題です。オリンピックでいちばん力があるのは重量挙げの選手である」
「イエス」
「ブー。いちばん力があるのはIOC会長である」

(補足)今やすっかり「選手のためでなく組織のためにオリンピックを動かしている陰の黒幕」のイメージが定着しているIOC会長だが、当時はそれほどでもなかった。もしかしたら円楽さんは卓越した先見の明で、その役職の“正体”を見抜いていたのかもしれない。ちなみに当時のIOC会長はサマランチ氏。

●桂歌丸さんとの葬式ネタバトルも番組の名物だった(2000年4月30日放送回)

(問題)白衣の天使になって、日誌の冒頭を読み上げてください。私が「たいへんですね」と言いますので、ひと言。

「今日はあの『笑点』で有名な歌丸師匠が、検査のため入院した」
「たいへんですね」
「念のため裏口に霊きゅう車を呼んだ」

(補足)毎週のように繰り出されたのが、歌丸さんの「死」や「葬式」をネタにした回答。その不謹慎な毒舌は、毒によって尊敬や愛情を表現できるという“言葉の妙”を感じさせてくれた。2018年に歌丸さんが亡くなったとき、追悼番組で円楽さんは「ジジイ、早すぎるんだよー!」と涙ながらに絶叫。ふたりの絆の強さをあらためて感じさせた。

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