芸能

映画『おくりびと』の特殊メイク “ご遺体”ダミーに眉毛も一本ずつ植えるこだわり

小林稔侍が演じた「ご遺体」ダミー

小林稔侍が演じた「ご遺体」ダミー

 映画『おくりびと』(滝田洋二郎監督、二〇〇八年)は葬儀の納棺師を描いた作品だ。それだけに、遺体と向き合うシーンが多くなる。この映画では、そうした遺体は実際の俳優ではなくダミー人形を用いて撮影が行なわれているのだが、これが本物の遺体と錯覚するほどのリアルさだった。そのダミー人形を作成した、日本の特殊メイクの第一人者・江川悦子氏に、映画史・時代劇研究家の春日太一氏が創作の裏側を聞いた

 * * *
江川:ご遺体役を役者さんに横たわって演じていただくと、難しいことがあります。着替えさせるのもそうですし、特に髭を剃るというシーンがあるんです。

 その場合、役者さんだと顔を触られると、どんなに頑張ってもどうしても瞼とかが動くんですよ。ご遺体としてそれはおかしいから、人形を使おうということになったようです。それで「リアルに作ってくれる人」ということで、誰かが私の名前を挙げてくださったみたいでした。

 監督は最初、半信半疑だったんだろうなと思います。いろいろ初歩的な質問を受けましたから。「ご本人に似せることはできます」というお話をして、過去に私の手がけた作品も見ていただいて、それで作るということになりました。

――どのような手順で作られたのでしょうか。

江川:まず、俳優さんの顔の型だけはとらせていただくんですよ。それ以外のボディは採寸したりしたものからこしらえていきます。

 幸い、目を閉じた状態で型をとりますから、成形時にさほど大きくいじらなくてもよかったんです。あとはそこにリアルな皮膚感などをつけていけば大丈夫でした。

――リアルさを出す上で、特にどのような点を心がけられたのでしょうか。

江川:たとえば毛髪や眉は、かつらではなくご本人と同じになるようにパンチングを使って毛を刺しています。植毛しないとリアリティが出ないんです。

 だから、植えやすいように顔の素材は柔らかいシリコン製にしています。目を開ける場合は義眼もこしらえています。

関連記事

トピックス

中居正広
《中居正広が最後の動画を公開》右手を振るシーンに込められた「意図」 元SMAPメンバーへの想いとファンへの感謝「これまでの、ほんの気持ちをこめて」
NEWSポストセブン
雪が降る都心を歩く人たち。2月5日、「最強寒波」の影響で東京23区を含む平地でも雪が積もった(時事通信フォト)
真冬も白ソックスに生足を強いるブラック校則 批判の一方、学校側の事情「3次募集ですら定員の埋まらない高校なんて厳しく管理しなきゃ崩壊」
NEWSポストセブン
アメリカでは大谷も関わっていたと根拠もない陰謀論が騒ぎを立てた(写真/AFLO)
大谷翔平、アメリカ国内でくすぶる「一平は身代わりだ!」の根拠なき陰謀論 水原一平被告の“大幅減刑”に違和感を覚えた人々が騒ぎ立てたか
女性セブン
フジテレビのドラマ出演を断ったと報じられた菅田将暉
菅田将暉、フジのドラマ出演を断った報道の真相 降板は未決定か、一緒にドラマ作ってきた現場スタッフへの思い抱く
女性セブン
映画の撮影中、酸欠で意識を失っていたことを明かしたトム・クルーズ(Xより)
トム・クルーズ(62)映画撮影でついに“気絶”! 海中シーンでは「自分で吐き出した息を吸い呼吸」 26歳年下恋人も尊敬する“驚くべきヤバさ”
NEWSポストセブン
同じ少年野球チームに所属していた田中将大(左)と坂本勇人
田中将大と坂本勇人、24年ぶりにチームメイトになった2人の“野球観の違い”を少年野球時代の監督が明かす「とにかく張り合っていて、仲良くしていた記憶がありません」
週刊ポスト
10月1日、ススキノ事件の第4回公判が行われた
《遺体が変わり果てている…》田村瑠奈被告の頭部損壊で遺族は“最後の対面”叶わず 父・修被告の弁護側は全面無罪を主張【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
歌手・岡田奈々が45年ぶりにステージへ復活
【伝説の美少女】女優・岡田奈々「45年ぶりの生歌唱」に挑戦か 「自分の部屋で『青春の坂道』を歌っています」
週刊ポスト
ハトを虐待する男(時事通信)
〈私の力は強烈すぎて鳥の大腸を破裂させてしまう〉動物愛護法違反で逮捕された“ハトマスク男” 辻博容疑者(49)の虐待実態「羽をむしり解体」「音楽に合わせて殴打」
NEWSポストセブン
熱愛が明らかになった
【熱愛スクープ】柄本時生、女優・さとうほなみと同棲中 『ゲスの極み乙女』ではドラマーとして活動、兄・柄本佑と恋人役で共演 “離婚を経験”という共通点も
女性セブン
終始心配した様子の桐山照史
WEST.桐山照史&狩野舞子、大はしゃぎのハネムーンを空港出発ロビーで目撃 “時折顔を寄せ合い楽しそうにおしゃべり”狩野は航空券をなくして大騒ぎ
女性セブン
徳永英明の息子「レイニ」が歌手としてメジャーデビューしていた
徳永英明、名曲の名を授けた息子「レイニ」が歌手になっていた “小栗旬の秘蔵っ子”の呼び声高く、モデル・俳優としても活躍
女性セブン