時代劇の話題は2023年も続きそうだ。NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』に続いて新年から新作時代劇が続々登場。その見どころについてコラムニストで時代劇研究家のペリー荻野さんが解説する。
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昨年は、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』が大いに話題になったが、その勢いもあってか、2022年の年末から1月にかけて、単発ドラマが5本、連続ドラマ2本、映画も3本と時代劇の新作が揃った。
注目したいのは、「青春」をテーマにした作品が多いこと。
12月30日BSプレミアムで放送された『まんぞくまんぞく』は、「自分を打ち負かすような相手でなければ結婚しない」という男装の女剣士・堀真琴(石橋静河)が、旗本の三男坊・織田平太郎(永山絢斗)に出会うというガールミーツボーイ時代劇。
意地を張りあいながらも「まことの真琴殿を知りたいのでござる」という平太郎。自分のために命を落とした家臣の敵討ちという悲願がある真琴。ふたりの姿が初々しくもあり、いじらしくもある。
1月3日放送のNHK正月時代劇『いちげき』は、幕末期、徳川を挑発するために薩摩藩士らが仕掛ける凶悪な「御用盗」を成敗すべく、農民を集めて結成された「一撃必殺隊」の活躍を描く。タフで頭が切れるウシ(染谷将太)、武士に憧れるイチ(町田啓太)はじめ、『鎌倉殿』でもいい味を出した高岸宏行ら、力自慢の農民たちが、元新選組の島田幸之助(松田龍平)にしごかれながら、高額な報酬にウハウハし、女の子に夢中になり、自分の生き方を考える。
だが、敵はもみあげをゆさゆささせる御用盗の伊牟田(杉本哲太)ら狂暴で狡猾な面々なのだ。喜劇と悲劇と疾走感があふれる宮藤官九郎・脚本による青春エンターテイメントである。
12月30日に公開された映画『近江商人、走る!』は、親を亡くし、大津の米問屋に勤めることになった銀次(上村侑)が、職人の互助組合を考案したり、茶店アイドルのプロデュースをするなど、さまざまな人助けをしながら、罠にはめられた店の危機を救うため、仲間とともに奔走するというストーリー。目指すは千両返し!?
ものすごく感じが悪い悪奉行に対抗すべく、米相場という最先端ビジネスで大逆転に挑む若者たち。彼らが、ひねりだすアイデアが素晴らしい。