ネット全盛の時代、若者のテレビ離れが加速し、各局のアナウンサーの役割も変化しつつある。これからテレビを彩る“華”たちはどこに向かうのか。元局アナ3人(石井希和=元テレビ朝日、中村仁美=元フジテレビ、亀井京子=元テレビ東京)が語りつくした。(全3回の第3回。第1回から読む)
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中村:今の子たちは自らSNSで情報発信していますけど、私たちの頃は「女子アナブーム」の真っ只中で、写真週刊誌の尾行や張り込みが多くて大変でしたよね。
石井:新人研修で「手さえ繋いでいなければ何とでも言い訳ができる」と先輩に言われました。いま考えると、手を繋いでなくてもごまかせませんけどね。
亀井:新人の時にそんな貴重な教えがあったんですか!?
石井:そう!
中村:勘違いされるような写真はNG。真剣にお付き合いしているのならいいけれど、遊びならやめた方がいいと。
石井:でも難しいですよね。撮られたからって結婚が決まったわけじゃないし。後で「聞いてなかった」って言う人も社内にはけっこういるけど、こういう話って事前に報告するわけにもいかないでしょ?
亀井:テレ東では先輩がプロ野球選手と写真を撮られた時は「フライデーされるアナウンサーがテレ東から生まれるなんてすごい」って沸いたくらい。でも、私が入社2年目で夫(当時、読売ジャイアンツ所属の林昌範投手)と週刊誌に撮られた時は、上層部にものすごく叱られました……「これは謝罪案件だ」と言われて、各所に謝罪行脚をしまして。
石井:つらいなぁ。でも、お互いが好きになってしまったら、仕方がないんですよね。
中村:うちはざっくばらんで、アナウンサー同士で恋愛話をすることもありました。周囲が「スポーツの資料です」とか言いながら週刊誌のコピーを配ったりして(笑)。イジッてくれたのが逆にありがたかったです。
亀井:私もアナウンス部内では「独身同士だから別に悪いことじゃない」という感じ。でも、「もう、スポーツアナウンサーとしては育てられない」って言われてしまいました。
中村:そうか、仕事も限られちゃうのか~。
亀井:だから、畑が野球から競馬に変わりました。
石井:アナウンサーなのに自宅前でカメラ持って待たれるみたいな状況は、本当に仕事がしづらいですよね。
中村:タレントさんは事務所が守ってくれるけど、アナウンサーは会社員ですからね。よほどじゃない限り電車で帰りなさいって言われるし。
石井「テレビ朝日の会社員として」と、新人の頃から徹底して言われました。同じ画面に映っていても、タレントさんと同じ土俵にはいない。その場での役割を認識して、立ち振る舞いに気をつけなさいと。
「個性を出すな」とも言われましたね。番組は自分の考えを主張する場ではないから。