政令指定都市である静岡市の田辺信宏市長は知事と同レベルの権限を有する。それが、川勝平太・静岡県知事との確執を招いたとされる(撮影:小川裕夫)
児童虐待の件数は歳月を経るごとに増加していることもあり、政府は2016年に再び児童福祉法を改正している。同法の改正により、東京23特別区も児童相談所を設置できるようになった。
泉市長の子育て支援は、ここ数年来で急速に注目を集めるようになった。SNSの発信も盛んで、政策を支持する声も強い。その一方で、以前からたびたび言動が問題視されており、明石市議会は2021年10月に問責決議案を提出。これに激怒した泉市長は、市議会議員に対して問責決議案に賛成しないように迫った。その恫喝まがいの行為は議会制民主主義を踏み躙ると指弾され、責任を取る形で次の市長選に出馬しないことを表明。政治家も引退する。
泉市長は政治家を引退するものの、今後は地域政党を立ち上げて子育て支援策に共鳴する市長候補・市議会議員候補を当一地方選に送り出すことを宣言している。
県知事と不仲な現市長が退く静岡市長選挙
リニア問題が喧しい静岡県は川勝平太知事の振る舞いが目立ち、県内では高い人気を誇る。川勝知事はリニア問題での言動がクローズアップされることが多いため、静岡県外でも川勝知事の映像を目にする人も少なくない。静岡県知事選は統一地方選と日程がズレているが、県庁所在地の静岡市で市長選が実施される。
県庁所在地の静岡市は、政令指定都市でもある。政令指定都市の市長は、道府県知事と同等の権限を有するとされる。ゆえに、川勝知事といえども静岡市長の意見を無視できない。また、静岡市政にズケズケと介入することもできない。
市長選に不出馬を表明した現職の田辺信宏市長は、川勝知事とは犬猿の仲だった。そのため、川勝知事は事あるごとに田辺市政を否定してきた。それが影響し、3期12年続いた田辺市政の功績は過小評価されがちだが、当然ながら静岡市発展に足跡を残している。
田辺市長は退任表明後の2022年12月、静岡市を本拠地とするプロ野球チームが新たに誕生することを発表した。これは田辺市長が市長就任前から取り組んできた政策で、NPBのファーム拡大構想を受けて2024年をメドに金融事業を手掛けるハヤテインベストメントがプロ野球チームとしての活動を開始する。
静岡はサッカー王国のイメージが強い。また、新規参入が発表されたハヤテインベストメントのチームは、あくまでもファーム限定のチームとなる。それでも、プロ野球チームを誘致したことによる静岡市への貢献度は大きい。この誘致成功により、サッカーと野球という二大スポーツが静岡市を活性化させる起爆剤になるとの期待が高まる。