2023年は、4年に一度の統一地方選挙が行われる年だ。通常、各地の選挙はそれぞれの期日に実施されるが、4年に一度だけ、3月1日から5月31日の間に任期満了を迎える全国各地の市区町村長や都道府県知事、市区町村議会議員や都道府県議会議員の選挙を、4月にそろえて行う。選挙の取材を続けてきたライターの小川裕夫氏が、2023年統一地方選挙のなかから注目の選挙について取り上げる。
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2022年は参議院議員選挙が実施され、自民党と公明党の連立与党が大勝した。衆議院の解散がなければ、以降の3年間は大きな国政選挙がない。
だが、それは国政選挙に限った話。2023年春には統一地方選挙が控えている。地方選は国政選挙に大きな影響を及ぼさないと言われてきたが、それは一昔前の話だ。
国から地方へ権限や財源の移譲を進めるため、政府は2000年に地方分権一括法を施行。同法によって国と地方は体裁的に対等な立場になり、現在は第12次まで取り組まれている。その結果、都道府県知事や市町村長といった首長の権限は20年前よりも強化され、各地域でリーダーシップを発揮し、国会議員を凌ぐ権力者として君臨する。
非自民系の知事や市長が誕生すれば、少なからず国政にも影響が及ぶ。それは、岸田内閣が推進する政策を停滞させる可能性を秘めている。
日本維新の会の行方にも影響を及ぼす大阪市長選挙
各地の統一地方選のなかで、もっとも注目を集めると事前から予想されているのが大阪市長選だろう。大阪の松井一郎市長は2010年に大阪府の橋下徹知事(当時)と地域政党の大阪維新の会を立ち上げ、以降は二人三脚で党勢を拡大してきた。2011年に橋下氏が知事を辞任して大阪市長選に出馬するという異例の選挙が実施されることになると、橋下氏の後継として知事選に出馬して当選を果たした。
2015年に実施された大阪都構想の是非を問う住民投票で、大阪都は否決された。その結果を受けて、橋下氏は政界から引退。代わって、松井知事(当時)が維新を率いていく。その松井知事も2019年に知事を辞任して大阪市長選に出馬するという、橋下氏と同じ戦法で選挙戦を勝利している。